林産だより Vol.86

vol.86 平成17年3月
発行:兵庫県立丹波年輪の里
          (林産指導課)

tel0795-73-0725 fax0795-73-0727

e-mail wood@hk.sun-ip.or.jp
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題字 鳳翔会主宰 塩山重夫








屋根スパン 25mの
木造施設



「朝来町生涯学習施設」
完  成


木造で温水プールも
          愛称は「くじら」

 平成一七年三月、朝来郡朝来町新井ですすめられてきた、「朝来町生涯学習施設」建設工事が完成した。
 この施設は「生涯学習・健康・情報ゾーン整備」構想の中核施設として、同町が国庫補助のある「木の香るまちづくり事業」により建設。
 内部はトレーニングジムとともに、二五メートルをメインとした計三つのプールを持つ。これらを納める大きな屋根、柱を含め、構造を木造とした。また、同デザインの図書館も別棟に併設されている。
ハイブリット構造の屋根架構
 東西方向に滑らかなRを持たせた屋根は、最大スパン二五メートル。ヒノキ集成梁二〇〇×六〇〇ミリと鋼材φ六〇ミリを組み合わせたハイブリッド張弦梁。 構造用木材には用途に応じ、ヤング係数七〇、一〇五、一一〇以上の材を使用。また、養父市産スギ間伐材を垂木とし、地域材も活用している。
 一方、プール室の屋根荷重を受ける柱は、三〇〇×三〇〇ミリのヒノキ集成柱。また、隣接のトレーニング室等は、一三五ミリのスギ正角材四本で構成される「たばね柱」。大空間を確保するため、構造にはそれぞれ工夫が凝らされている。

木材を多用し意匠にも配慮
 南北壁面は窓を大きく取り、明るい室内を演出。ガラス面以外は、一八〇ミリのスギ正角柱がズラリと並べたてられ、暖かみのある木材面そのままの壁だ。
 受付横には、天井まで積み上げられたスギ正角の端材。木口の年輪模様を上手くデザインに取り入れ、ここが木造の建物であることを来館者に強くアピールしている。
湿 気 対 策
 木造の温水プールと言うことで気になる湿気対策は、空調を二四時間稼働させ対応とのことだ。


施設概要
構   造  木造平屋建
延床面積  一九九四u
最大高さ   七.六m
木材使用量  四二一m3   県産材七五%以上 (内スギ七割ヒノキ三割)
設計・監理 (株)小河建築設計事務所
施   工  鴻池組・松本組建設共同企業体







製材目立て技術者実態調査結果
   〜 県内アンケートから 〜
重要な存在である
    目立て技術者
 兵庫県内には製材所が二〇〇社以上ある。
 高品質な製材品を生産するため、製材目立て技術者は鋸の仕上げに責任を持ちつつ、製材機械自体の調子をも把握することが求められている。通常表に現れてはこないが、まさに製材業を支える重要な存在と言える。
 その実態及び現在置かれている状況を把握するため、県内の技術者を対象に県立丹波年輪の里が実施したアンケート調査の結果を抜粋し紹介する。
 調査方法  丹波年輪の里が把握している技術者六一人(加工所一八社)に調査票を送付し、その中で一九人(一五社)から有効な回答があった。その構成は、目立て加工所経営者九名、勤務者(加工所社員)四名、製材所内で受託する者六名。調査は平成十六年四月に実施。なお過去(平成二年)にも同様の調査をおこなっている。
年齢層  二〜四十才台の若い層が二十一%(平成二年五十八%)で、五十才台以上が七十九%(同四十二%)。若い労働者が減り、技術者の高齢化が進んでいる。(図1)
受託製材所数  一〜十工場を受託している加工所が五十六%(平成二年七十七%)。十一〜二十工場では四十四%(同二十三%)。当所把握の加工所数は、平成二年二十七社から平成十六年十八社へと九社減少。
加工所・技術者あたりの
製材機台数
 受託する製材所にある総製材機台数について、加工所あたり平均二十四.三台(平成二年十八.四台)、技術者あたり平均十二.八台(同十台)となった。受託する製材所の増加と同様、製材機についても、各々が整備する台数は増加。(図2)
仕事量  現在の仕事量は多すぎる七%(平成二年七%)。適量二十七%(平成二年九十三%)。少ない六十七%(同0%)。取扱製材所、機械数は増加しているにも関わらず、仕事が減少しているとの回答が約七割。稼働率が相当低下し、仕事量自体が減少していることをうかがわせる。(図3)
後継者  九十三%(平成二年七十九%)が、後継者未定、あるいは自分の代までと回答。全体的に高齢化が進んだにもかかわらず、後継のない状況。(図4)
アンケート他から
     
見えること
 調査結果から見えてくる傾向としては、まず@技術者の減少と高齢化、後継者不足A加工所(技術者)当たりの受託製材所数の増加B仕事量の減少。
 その他聞き取り等による調査も加味すると、Cとりまとめ役的リーダーの不在D仕事量の減少に伴い数は減ったが技術レベルは維持E機械設備投資意欲があるか否かの二極化が進んでいるようだ。・・・である。
今後の課題等  これらにより導かれる課題としては、現に活動する技術者の再組織化と連携の強化。さらに、後継者の育成等が、まずは急務。さらに、受注から納入までの平均日数が一.四日(今回調査結果)であることから、製材所からの距離・時間的条件を勘案した範囲での作業の共同化も今後の検討課題。
 技術者の育成について、現在兵庫県内では、製材のこ目立て技能検定は実施されておらず、また、目立て教習を実施する機関もない。このため現状では、県内での組織的育成は難しいと言わざるを得ないが、育成体制の改善が望まれる。
 作業の共同化について、将来的には、機械の維持管理や共同受注による経営の安定化と作業効率のアップを目的とした、共同作業所の設立も検討課題となると思われる。(問い合わせは、丹波年輪の里林産指導課まで。)






    木・ワード(13)
          「京都議定書」
 平成九年京都で気候変動枠組条約第三回締約国会議が開催された。この会議はCOP3、京都会議とよばれ、同年一二月に採択されたものが、京都議定書。平成一六年一一月、ロシアがこれに批准したことで要件がそろい、平成一七年二月一六日午前零時(日本時間午後二時)に発効した。その内容は、温室効果ガスを一九九〇年比で二〇〇八年〜二〇一二年に一定数値の削減を先進国等に義務づけるもの。日本は一九九〇年比六%の削減を求められているが、〇三年度は八%の増となり、目標達成には相当の努力が必要。議定書では排出権取引ができる「京都メカニズム」が導入され、他国との協力により排出量の削減とすることなども可能。しかし一方では、木材の伐採が即CO2の排出とみなされると言う根本的な問題を抱えている。
 木材製品に蓄積されているCO2をいかに議定書のなかで評価させるかが今後の大きな課題。





県内の木工品紹介
但馬・バイオリン製作
 兄たちの影響を受けてバイオリン等の弦楽器製作を始める。本場イタリアのクレモナで修行を積むなど造形の美と音の美を追求し30数年が経つ。寿命の長い楽器であり、まだまだ未知の部分が多く、納得のいく製品作りを追求したいとのこと。表板はトウヒ、裏板はカエデを使用。熟達した職人のバイオリンは気品に満ちて温かい。長男則幸氏も現在クレモナで製作活動中。

  弦楽器工房マツシタ(松下寿幸氏)
  朝来郡朝来町物部87 Tel:079-678-1122





インサートチップ刃を
用いた新しい帯鋸の研修会

 製材用帯鋸の世界では画期的製品と言われている話題の「インサートチップ刃」。 着脱式の歯先。業界では話題の技術だが、兵庫県内での導入事例は、まだない。
 その開発者を招き、特徴と使用状況を確かめた。
 平成一七年三月六日、県立丹波年輪の里が兵庫県木材利用技術研究会等との共催で、宍粟郡山崎町にある県立森林林業技術センターにて開催。
 当日は、研究会会員及び県内目立て技術者約三〇名が参加。開発者である(有)岩ア目立加工所岩ア社長の指導で、センターの製材試験機に装着。スギ丸太を挽き、切削状況や挽き肌を確認。また、新技術の要である歯の取り替え状況の実演も。
「製材コストの低減に大きな効果がある。」との説明。
 参加者は熱心に聞き入っていた。


           (有)岩ア目立加工所
             島根県大田市大田町
              tel:0854-84-7246
              http://metate.co.jp/





〜 お 知 ら せ 〜
「春のフェスティバル」
四月九、十日開催
フリーマーケット・ストリートパフォーマンス等盛り沢山。

住まいのリフォーム+木の家具=3人展
期間 四月九日〜
場所 丹波年輪の里 木の館1Fホール