林産だより Vol.85  

vol.85 平成17年1月
発行:兵庫県立丹波年輪の里
          (林産指導課)

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題字 鳳翔会主宰 塩山重夫






「今、木造住宅が注目されています!」


兵庫県木連会長
新春インタビュー

 兵庫県木材業協同組合連合会会長 野村昌弘氏を林業会館に訪ねた。
 県木連は昭和三十三年設立。会員は二五団体と賛助会員四社。組合員数四百十八名。
 会員相互間の連絡や活動の調整。また 経営技術の改善や知識の普及に加えJAS検査事業や県からの委託・補助事業も実施している。

県産木材使用証明が好調


 「県産木材利用木造住宅特別融資制度は、近年消費者に大きくアピールしています。特にシックハウス対策に関心が高まっていますし、本物志向の流れになっているのは事実です。」と開口一番野村会長。
 県木連の業務のひとつに、同融資制度にかかる、県産木材使用証明書の発行がある。本年度については、年度末までに発行件数が全県で二百件に近づく見込みという。
 この数字は、昨年度実績に対して二倍だ。このことからも、「一昨年、昨年と木材、特に県産材が使われだしていると思います。」(会長)という。
 県木連は、毎年開催される「木材フェア」やその他のイベントなどを通じて直接一般消費者へのPRにも努めている。住宅相談会を開くと、予想を越える問い合わせや相談者が集まるようになってきたとも。

この十年とこれから

 明るいきざしもある一方、会長の地元神戸の木材業界は、震災以降かなりの数で業者が減少している。
 震災では木造住宅のイメージが低下し、木材業界は苦労したが、「社屋の損壊や高齢化がすすんだこともあります。加えて流通形態の変化もある。しかし、数が減らないように皆で頑張っていこうと強く思います。」と言う。
行政に対しては、「川上から川下までバランス良く配慮をお願いしたい。県木連としても、兵庫県産木材供給部会を通じて、スムーズに木材が活用されるよう力を入れていきたい。」とも。
 木造住宅に関心が高まってきてはいるが、業界全体としての景気回復は、まだまだ。震災や未曾有の大不況を乗り切ってきた野村会長。次は県木材業全体の底上げに手腕を期待したい。


 野村昌弘氏
 昭和十年生。大知木材(株)社長。県木連会長の他、県関係では各木材団体の会長、理事長、委員等多数を兼務。神戸木協理事長。



 ■ トピックス ■

 風倒木処理に助っ人参上
 県内二千haの被害
 平成一六年に相次い で日本を襲った台風。
 なかでも台風二三号による森林被害は、全国で一万五千ヘクタール。林業用施設等の被害も含めると、金額にして八三〇億円と甚大なものとなった。(一一月二五日付農林水産省発表資料)
 同年一一月には、この被害に対し激甚災害指定がなされている。
 今後問題になるのが、大量に発生した風倒木の処理。強風により大きな力が繰り返しかかった為、明らかに割れが発生している部分はともかく、表面的には問題ないように見えていても、製材すると欠点が現れるケースも。もちろん風倒木でも、利用できるものは利用し、欠点木や残材を適切に処理できればこれに越したことはない。
そのためには、できるだけ伐採地の近くで加工できることが望ましい。
現場で丸太加工が可能
 写真の機械は、(株)かんでんエンジニアリング(本社:大阪市)が開発している小径間伐材丸太加工装置「とが丸くん」。リモコン自走式の丸太加工装置だ。
 従来丸太(丸棒)を加するためには、原木を加工機械のある製材工場まで運ぶ必要があった。しかしこれは逆に原木のある山中に機械そのものを搬入(4t車で運搬可)し、その場で加工ができるすぐれものだ。 この機械を一日六時間稼働させると、約三〇〇本が生産可能。その他の特徴としては、走行姿勢から作業姿勢へ約三分でセット可。加工時間は一本(二m)約一分。写真のクローラ式に加え定置式(工場あるいは現地)のものもある。

 アタッチメント式の刃先は簡単に取り替えることができ、径も100,120,130,150,180,200と変更可。また、断面形状も六角形や、たいこ状にもできる。
 仕組みは、通常の加工機とは違い、固定された刃先に材を油圧ピストンで押しつける「ところてん」方式。このような加工方法のため材表面は多少荒れてはいるが、土木工事用の杭や柵工用には十分使えそう。

工場仕上げも有利に
 現地で大きめに加工し、仕上げを工場でおこなう場合、原木そのものを運ぶより遙かに少ない回数で輸送できることや、工場での残材発生も少なくなるなどのメリットも見逃せない。
 メーカーによると、現在はスギ用に機械を調整しているが、今後は、カラマツなど他樹種にも対応させるとのことだ。

開発元
(株)かんでんエンジニアリング 北陸支店
   tel:076-432-5242





  こだわりの
    木造建築紹介

安心コミュニティプラザ
風 の 家
(神戸市)
 平成一六年十月にオープンした神戸市灘区六甲道駅北地区にある集会所。周辺各自治会(まちづくり協議会)の連合会が事業主体となり建設された。

まちづくりの拠点施設

 平成七年の阪神大震災では多くの建物が倒壊、焼失した。ここ灘区六甲道駅北地区でも倒壊や火災が発生し、死者・負傷者が多数発生している。
 多くの住民が避難所暮らしを強いられるなか、同年三月、神戸市により土地の減歩や移転が必要となる都市計画が決定された。
 先の見えない不自由な中での決定。不安がひろがった。しかし、度重なる議論の結果、「自分たちのまちは自分たちでつくる」という思いがまとまり、ついには行政を動かし、住民側の意向を汲んだ計画へと変更されている。
 「風の家」は、地区のほぼ中央に位置する六甲道北公園(敷地面積約八千u)予定地の一画に建設された。同公園は住民自らが複数のプランから煮詰めていったもので、平成十八年の完成を目指し現在工事が進んでいる。








設計コンペで選出
 この建物は、同地区まちづくり連合協議会が募集した設計コンペに応募の十九作品から選ばれた最優秀作。
 「最初は、あくまで仕事のひとつとして応募し、当選したのですが・・」と、設計・監理を担当した渡辺建築設計事務所の渡辺健司さん。「しかし、外から見るより遙かに大きな復興への意気込み、地元の方のパワーにすぐに圧倒されました。それぞれ仕事を終えた夜間、連日のまちづくり会議。また休日は地区の集会と、復興への努力が生活そのものになっています。住民のそういった姿に、こちらとしても襟を正してかからなければとの思いを強く感じました。」と言う。

ここにしかない集会所を
 しっとりと落ち着いたデザインの外観。東側にまわると、十字に交差する風通しのよい通路。屋根形状と共に、一瞬教会をイメージさせる。足元には将来建設される震災復興モニュメントへと繋がる予定のウッドデッキが設けられている。
中にはいると屋根部の架構が印象的。トラス組みを現しとし、天窓から差し込む光が木材を明るく照らす。 使用された部材は最大でも約四mと、この種の建物にしては短くまた、断面も4寸角と小さい。接合部には貫を使用。「ここにしかない材料、風・海・山・木、そして人を考えて設計しました。木材については、約八割が県産スギ材です。」と渡辺さん。
 準防火地域だが、敷地境界からの距離を大きくとれる利点を最大限いかし、外壁にも木材を使用。
 「オモロイやないか」、「たのしい」、「ウチに持ってかえりたい」等々地元の評判も高い。よくあるRC造の集会所では、こうはならなかっただろう。
 それにしても、見飽きることのない建物だ。
 震災から十年。「安心コミュニティプラザ風の家」・・・名前とともに、ここを取り巻く人々の様々な思いを感じさせる。
   施 設 概 要
   ・所在 神戸市灘区六甲町
   ・構造 木造軸組平屋  ・最大高さ 六.九三m  延床面積 一六〇u
   ・木材の調達及び使用量  県内製材所から三〇立米 (内スギ二三立米)

  渡辺建築設計事務所
   神戸市兵庫区小河通2-1-4
   西宮市甲東園1-5-34-805
         tel:0798-54-5444
  (構造設計 田原建築設計事務所)





     


県内の木工品紹介
北播・漆器




 高校生の時に師となった讃岐高松の有岡良益氏に出会い、18才で弟子入りをして修行。
 作家を目指して入った世界で、柳宗悦の著書を読み「民芸」の思想に触れ、職人の作り出す仕事の凄さを考えるに至り、用に活きて用に耐える「美」、民芸の精神の籠ったもの造りを原点としている。木を生かした木地を造り、漆で仕上げる。
 伝統を踏まえ衒いのない命の長い作品を造っている。

観音工房 小 林 秀 晴 氏

加東郡滝野町曽我621 Tel:0795-48-5183

  木・ワード(12)
         「目まわり」
  
 年輪にそって発生する割れ。強風で強く曲げられ発生。霜割れと同時に生じることもある。
 目まわり材は、一見健全に見える立木でも、製材すると割れが発生。このため品質、強度共に著しく低下する。
 昨年の台風では、県内各地で風倒木被害が発生している。その有効活用が求められているが、健全木のなかにも目まわり木が相当含まれていると考えられ、その取り扱いも課題。
(写真は丸棒加工中に割れが発生した目まわり材)


 
今年も好評 秋の「木木市」

 春に続いて本年2回目、丹波年輪の里名物「木木市」が、平成16年11月27、28日に開催された。主催は丹波市木材業協同組合。木材の端材、半製品などが安く購入できることで人気のイベント。
 毎回人気の”セリ市”も行われるなど、多数の来苑者で賑わった。



〜 お 知 ら せ 〜
木材研修会
テーマ 木造施設の維持管理 〜建材としての木材劣化診断の実際と補修技術〜
講 師 横浜国立大学教育人間科学部 教授 矢田茂樹 氏
日 時 平成十七年三月九日 午後一:三〇より
場 所 丹波年輪の里 木の館
参加申込 丹波年輪の里まで (tel:0795-73-0725)



展 示 会  たんばはがき絵展
    ハガキ大の用紙に描かれた「たんば」の自然や風土、人々等の絵を展示。
展示場所・期間
兵庫会場   丹波年輪の里      平成一七年一月三〇日〜二月一三日
京都会場1  ガレリアかめおか    平成一七年二月一九日〜三月六日
京都会場2  日吉町生涯学習センター  平成一七年三月一二日 〜三月二七日