■ トピックス ■
材料支給方式で交流施設建築 |
| 木材の交通整理を外部専門家に〜多可郡黒田庄町〜 |

岡交流施設(仮称)の完成予想図
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多可郡黒田庄町では、同町岡地区での木造施設建築工事に町有林材を使用し、地域資源の有効活用をはかる取り組みが進行中だ。
同町では事業の実施にあたり、木材料を本体工事とは別発注とする事で、まとまった量の地域材使用や工期の制約など公共事業の厳しい要求をクリアしつつ、今後の地域木材活用のヒントとなる新しい手法が採用されている。
施設規模等
木造軸組平屋建。延床面積四五七平米。使用木材百十九立米。総事業費約一億一百万円(一部国庫補助)。 |
事業の採択と地域木材
黒田庄町では、国庫補助のある「木の香るまちづくり事業」の採択を目指し、昨年度より計画策定作業をすすめてきた。採択にあたり、構造は木造であることと、先駆的な取り組みを行うこと他が求められている。このため本事業では、(1)スギ材による屋根トラス架構(2)床仕上げ及び腰板に
スギ圧縮材を使用(3)無垢厚板の使用で防火関係をクリア・・・の3点を計画したところ認められ、その他関連事業の実施も加え事業が採択される運びとなった。
実施にあたっては前述のとおり木造施設であることから、地域資源の有効活用の考え方をもとに当初から地域産木材の使用が前提。
その木材だが、建築予定地上流の同町門柳字門柳山には、町と地元との間で交わされた分収契約林(町有林)があり、近々抜き伐り施業等のための作業路が設置されることになっていた。このため、工事で発生する支障木と林内からも一部利用し地元産木材の有効活用を、という流れで話がすすめられてきた。
しかしいざ本格的に事業を開始する段階になると、木材料面で数々のハードルが待ち受けることに。
このあたりのことについて、事業主体である黒田庄町役場に取材した。
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コーディネーターがアドバイス
「作業路敷の伐採予定木がはたして使えるものなのかどうかすら、役場職員には当初分かりませんでした。」と、産業課吉山さんは言う。
「木材料込みで一括発注しても、受注者である建築業者が直接立木を伐採、搬出、さらに製材するわけではありません。構造材で百立米以上あるなかの一定量を町有林から確実かつ要求品質を満たし、建築現場に届けさせることは、検討の結果相当な努力が必要だと言うことがわかりました。地元の木材を使うということも重要な目的のひとつですから、なんとかこれを上手くすすめる方法はないかと思い、県社農林振興事務所に相談することにしたのです。」と言う。
県事務所では、伐採から製材品になるまでの流れを適切に交通整理する外部専門家を紹介されることになる。
このケースでは、構造材を中心として木材料調達に関するアドバイスを外部専門家(=木材コーディネーター)に依頼している。木材料の分離発注に必要な費用見積の助言をはじめ、林内の、どの立木をどの部材として使うかといった詳細な原木選定や管理など、山と製材の両方に明るい専門家でなければ困難な部分を委託。これでようやく建築工事と木材料を分離し、スムーズに発注することができたという。
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山から現場までの流れ
木材の流れを簡単に整理すると次のようになる。
まず発注者(役場)は、コーディネーターによる伐採予定地調査をもとに、木材料にかかる予定金額を算出する。
作業路工事後、立木調査を元に入札が行われ、納材業者が決定される。今回は加美町森林組合。
納材業者は、山土場から製材所(数社に分散)に原木を持ち込む。乾燥や製材の後、製材品は納材業者倉庫に一時保管される。
製材がひと月ほど先行するなか、一方では建築工事の発注が行われる。
建築のすすみ具合を見計らいながら、木材に関してはコーディネーターが製材所で製品一本ごとに工程管理等の助言を行い、さらに役場と共同して木材検査を行う。
建築業者は工事の進度に応じ、納材業者倉庫で納品を受ける。
建築の現場では設計事務所の監理とともに、その後もコーディネーターが木材保管などについてのアドバイスを行う。
プレカットなどによる継手加工以降は、建築業者側の分担だ。
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部材ごとにラベリング
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木材コーディネーター能口氏に聞く
今回黒田庄町役場から委託を受け、木材コーディネートを行う(有)ウッズ Ws
Ltd.,Co.代表取締役 能口秀一氏に話を聞いた。
―そもそも木材コーディネーター業と言う、いわば特殊な仕事に携わることになったきっかけは?
能口氏:以前私は県内の製材所に勤めていました。そこでは、市場や山で原木の買い付けから木材加工、また、工務店への納材など原木が製品になるまでの木材全般に携わってきました。考えてみると、素材業者の後ろには森林所有者がいますし、工務店の後ろには一般消費者である施主がいます。そこで、流通の両端をそれぞれ一歩ずつ外側に踏み出すと何か新しいことが
できるはずだと考えたわけです。
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能 口 氏 |
―今回は公共物件ですが、そのコーディネートはというと?
能口氏:一般民間木造住宅でもそうですが、木材の流れを初めから終わりまで、一人がずっと見守ると言うことは現在の流通形態ではほとんどないことです。原木から製品に至るまで同じ人間が管理することで、産地や、かかるコストを明確にすることができます。また木材の特性をふまえた、設計側への提案もできるわけですし、実際にそのような活動をしています。
ただ、公共物件になると、比較的大きな部材が使われます。それを地域材にしたいから見積もりして欲しいと言われることがありますが、部材が特殊になるほど、地域材で賄うことが難しくなっていきます。 |
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| 設計にあってもその地域に無いのなら、これはどうしようもない。木材は自然素材ですから、計画どおり調達できるとは限りません。こういったケースでは、範囲をすこし広げて流域内からとするなど、できるだけ近くから適切な原木を探してくるわけです。また、部材が大きくなってくると、要求される品質で確実に納品できる乾燥・製材技術にも、自ずと高いものが要求されます。製材能力や技術力に従い、どの製材工場にどの部材を振り分けるかといった事も考えることが必要になってきます。 |
―工程管理にも特徴が?
能口氏:本格伐採前の試し製材で山の傾向を把握しています。これで原木のロスはかなり少なくなります。 さらに今回のケースでは、部材一本ごとに詳細な管理表を作成しています。部材の製作進度が一目で把握できます。これを元に納材、製材、建築の三者が適宜対応できるよう、木材料について週一回工程会議を行っています。
―コストとの兼ね合いは?
能口氏:建築費全体に占める木材料の割合はわずかです。地域材を使うことでのコストアップが仮にあったとしても、材料費で何倍もの要求をしている訳ではありません。地域材を使う意義と、かかるコストとの兼ね合いについては、行政側で考えていただきたいことではあります。
―今後の課題としては?
能口氏:この程度の木材料であれば、地域材を多用することにそう大きな問題は無いと思います。
今回は立木伐採の直前からでした。今後もし設計段階から関わる事ができるとすれば、試し製材を元にした設計への提案や部材の標準化提案によって、より効率的な地域材利用が可能になると思います。製材の面では、公共物件で使われることの多い長尺物などを乾燥・製材する場合、設備がどこにでもあると言うわけではないこと。さらにそういった製品をつくる製材技術そのものも、もっと向上させる必要があると思います。
公共物件は、厳しい品質管理や納期のスケジュール管理が要求されますが、今回試みた手法で十分対応できることが分かりました。
―ありがとうございました。
一一月に棟上げ
建築工事全体の完成は、平成一七年三月を目標。
地域木材の活用が叫ばれる中、現場では様々な問題が指摘されることもあるという。今回の取り組みは、公共建築物での地域木材活用に有効な手法であり、今後に繋がる示唆に富む事例であると思われる。
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黒田庄町役場産業課
0795-28-2121
(有)ウッズWs Ltd.,Co.
0795-88-9635
http://www.wudz.ws/ |