vol.83 平成16年9月
発行:兵庫県立丹波年輪の里(林産指導課)

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題字 鳳翔会主宰 塩山重夫





魚も木陰によってらっしゃい!
 姫路









間伐材魚礁で効果調査
   森と海のコラボレーション
 森林資源の有効利用と水産資源の増大を目的に、間伐材を使った魚礁の実験が行われている。中播磨県民局姫路農林水産振興事務所が実施し、効果を調査中だ。

一石二鳥の効果を期待

 林業不振が山の手入れ不足となり、これが森林の公益的機能の低下を招く原因にもなっている。
 一方海洋でも浅海域の埋め立てや、工業、生活排水による水質悪化により漁場環境の劣化が懸念される。 ここに今回、間伐材を人工漁礁として活用することで、間伐の促進と水産資源の増大とを同時に狙った実験が行われている。

二種類の魚礁を制作


 これまでにも木造廃船の沈船魚礁の効果は広く認められており、間伐材を用いて魚礁とすることが全国的に注目されている。
 しかし、既製のコンクリート人工魚礁との効果比較は、ほとんど行われていないのが実状のようだ。
 今回の実験では、コンクリート製の従来型と同じ大きさで鋼材と間伐材を併用したものと、間伐材のみで井桁型に組んだもの(写真)とを制作。さらに比較対照としてコンクリート製を加え各八基制作し、それぞれ二基ずつを4カ所に設置。魚礁は平成一五年に制作され、家島の沖、水深約一〇〜二五メートルの所に設置されている。
 効果調査は平成一六〜一七年度に実施され、魚類の蝟集(いしゅう)効果と、木材の腐食状況などを調べるという。
 間伐材のみの魚礁(井桁型)では耐用年数がかなり短くなるのでは、と関係者のあいだでは予想されている。しかし逆に、コンクリート製よりも早期に蝟集効果が発揮されるとの期待もある。
 効果が認められれば、本格的な間伐材魚礁の設置事業につながる可能性も。
 森と海の連携に、期待が膨らんでいる。

■ トピックス ■
青垣町内に「木匠学科」が開校






修成建設専門学校
 青垣研修センター










研修センター内の実大模型
 学校法人修成学園 修成建設専門学校(本校大阪市西淀川区)の青垣研修センター内に、「木匠(もくしょう)学科」と名付けられた新しいコースが、平成一七年四月から開校する。
 修業年限を二年とし、大工技能を身につけた建築士の養成が目的だ。

大工技能者の減少

 全国で建築される住宅はおよそ一二〇万戸。そのなかに木造は四五%。在来工法による木造住宅は全木造住宅の八〇%を占め、年約四〇万戸が在来工法で建築されている。
 RC、鉄骨などの非木造系や、木造でもツーバイフォー住宅などが伸びてきているが、地場の大工工務店が手がける在来工法による木造住宅は、依然として大きなシェアを占める。
 このように根強いニーズがあるにもかかわらず、住宅建設の担い手である大工技能者は減少し、技術を伝承する若い後継者も少ない。技能者不足を補うため、近年ではプレカットに代表される、現場での細かな作業が不要な工法も増えてきた。
 しかし、高齢化、新規参入者の減少などがこのまま進むと、近い将来、日本の木造住宅づくりに支障をきたすとの懸念もある。
 一方、本年公表された林業白書では、建築物に用いる材料選択での建築士の役割の大きさに言及しつつ、「建築士にとって木造住宅に関する的確な情報が不足している」(同白書)と指摘。木造住宅の建築費や耐用年数に関する的確な情報が不足しており、このことが木材、とりわけ国産材の競争力低下の一要因であるとも分析されている。
 近年のこのような状況を背景に、同専門学校では林業の盛んな氷上郡青垣町という土地柄をいかし、木材生産地の中で、大工技能を身につけた建築士を養成するという。

山と木を知り匠に

 同専門学校の創立は明治四三年。現在までに約三万人の卒業生を社会に送り出し、今もなお、建設業界を支える技術者を養成し続けている。
 建築や土木など既存の学科に加え、定員四〇名の木匠学科を新たに開設する事になったが、日本建築の原点となる大工技能者を養成するため、その授業には、「『山を見つめ、木を知り、技を磨き匠になる』を目標に柔軟な姿勢で取り組みます。」(同校青垣研修センター田中教育課長談)と言う。
 技術のベースとなる二級建築士資格試験に備えた科目と、大工技能に特化した授業を展開しつつ、近隣民家のリフォーム実習もカリキュラムに組み入れるなど、実践的な内容で特徴を持たせるとのことだ。
(十月から入学願書受付)

修成建設専門学校 青垣研修センター
氷上郡青垣町東芦田
 Tel:0120-87-2070
 http://www.syusei.ac.jp/




メーカーを訪ねて

天産物であることを言い訳にせず満足と信頼を得る製品を提供
(株)大野製材所夢前工場
(飾磨郡夢前町)
 
中国自動車道福崎インターから南西へ約二〇分。姫路方面からもアクセスの良い場所に、(株)大野製材所夢前工場がある。
会 社 概 要
  創業昭和七年。山林業の経営から製材業に進出。昭和四〇年代には外材製材を開始。平成八年に2×4住宅パネルを製造開始。同部門は、昨年網干工場へ移設されている。その他に、営業(木材製品販売)、倉庫、住宅建設の各部門を持つ。本社は姫路市土山。
最新鋭の乾燥機
 国産材製材所の乾燥を請け負うかたわら、自社フローリング製品等の乾燥には、イタリア製乾燥機を導入。外国製を導入した理由は、「それは保証があるからです。」と、同社大野正人社長は明快だ。「制御機は、電話回線で遠くイタリアと接続されています。常に炉の状態をモニタし、遠隔操作することで高い品質を保証しています。」と言う。
 工業製品なみの品質管理を目指す同社にとって、原材料の品質確保は不可欠。これがあってこその自社製品の品質であり、この保証の有無が、国産機メーカーとの決定的な違いだとも。

スギ集成材ラインを新設
 乾燥機が象徴するように、時代環境を独自に分析し、先手を打って設備投資を行ってきた同社は今、県産スギ材に着目している。
夢前工場内にスギ集成材ラインを新設し、新たな事業展開をはかると言う。
 「当社のスギ集成材への取り組みには、行政サイドの県産材、特にスギの有効活用に対するご努力があります。このことに対して、受け入れ側である民間企業としても答えていく必要があると考えています。」と大野社長は説明する。
 同社の住宅部門は、年間二〇〜三〇棟の住宅建設を手がけるが、その2×4住宅を購入する施主のなかにも、県産材に興味を示す声があると言う。
 これらのことを受ける形で、「スギ集成材の柱、梁を使い、県産木材の特別融資制度を利用できる住宅を開発する予定です。このことはさらに、卸売業者様や工務店様に対する技術サポートや提案力にもなると考えています。」とも。
 しかしネックとなるのは外材と比較した場合のラミナの在庫管理やコスト高。さらには欠点から生じる歩留まりの低さや端材処理など、ハードルは山とある。これらがスギ集成材の事業化を阻んできた。










「県産材」はブランド
 県内製材所の協力を得てラミナの目処はついたと言うが、大野社長は、「現状ではスギ集成材だけではとても採算が合うとは言えません。しかし、スギを取り巻く現在の環境が今後一〇年続くものとも考えてはいません。乾燥材と集成材を避けては将来を語れないと思っています。現在、JAS検査ラインが設置出来た段階です。今後プレス機等を設置し、一一月には生産を開始する予定です。県内で生産される木材であり、また有利な住宅ローン制度のある『県産材』は一種のブランドです。売れると考えています。」と言う。
 製品は中断面で最大長一四mまで製作可能。公共物件にも対応。
 スギの集成材化。言われ続けてはいたが、本格的には取り組まれて来なかった新領域へのチャレンジ。  期待は大きい。
(株)大野製材所 夢前工場
Tel:07933-6-1362




兵庫県木材業協同組合連合会新役員
去る平成一六年七月二三日、県木連役員が改選された。会長、副会長は次のとおり。
 会長(新)   野村昌弘氏(神戸市・大知木材(株))
 副会長    宇野金市氏(豊岡市・(株)キョウワ)
 同       友井 正氏(山南町・下滝産業(株))
 同(新)    野村克己氏(姫路市・(株)乃むら木材)



県内の木工品紹介
播州・姫路仏壇

 播州は古くから浄土真宗が普及し仏壇作りが盛んな地域。県の伝統的工芸品に指定されている姫路仏壇は、大型のものが多く豪華、絢爛で重厚な外観。
 また内外に開閉できる無双障子や手打ちの表金具などが特徴。表面は梨地塗り、溜め塗り、玉虫塗りなどの伝統的技法による漆塗りで仕上げられ、高いブランドイメージを誇っている。

       姫 路 仏 壇 組 合
  姫路市土山3-3-40  Tel:0792-93-2211







木・ワード(10)
  「ウッドマイレージ」
  輸送距離に木材量を掛け合わせる等して得られる指標。
 国土の約七割が森林である我が国にあって、木材自給率は二割弱。大半の木材は、遠く外国からの輸入品であり、その輸送で消費されるエネルギー量は膨大。
 エコマテリアルであると言われる木材だが、輸送過程で大量の化石燃料を消費しているのであれば本末転倒。ウッドマイレージは、この木材輸送にかかるエネルギー消費をわかりやすく提示する指標として近年注目されている。
 指標の開発をおこなっている団体「ウッドマイルズ研究会」
(http://woodmiles.net/)は、ウッドマイレージの普及により、輸送エネルギーの削減や地域材の需要の活性化を目指し、循環型社会の構築へ寄与することを目的として活動している。






〜 お 知 ら せ 〜
(1) 木工セミナー 
   「日本の工芸、クラフトの流れ」

 内 容 日本の木工を中心とした
         工芸デザイン史
 講 師 兵庫教育大学名誉教授
         日 野 永 一 氏
 日 時 平成一六年一〇月三日
       一五〜一六時
 場 所 兵庫県立丹波年輪の里
 参加費 無料
(2) ログハウス基礎講座 参加者募集!!

 内 容  ログハウスの基礎知識と
       チェンソーワークの
               基本実技
 講 師  (有)紀幸
 日 時  平成一六年一〇月二四日
          一〇〜一五時
 場 所  氷上郡内(詳細連絡)
 参加費  一〇〇〇円

 お問い合わせ
  (1)(2)とも兵庫県立丹波年輪の里 林産指導課
    tel:0795-73-0725
    http://www.hk.sun-ip.or.jp/wood/rin/event/


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