vol.82 平成16年7月
発行:兵庫県立丹波年輪の里(林産指導課)

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題字 鳳翔会主宰 塩山重夫

地元産木材の学習机導入
〜 篠山市立村雲小学校に 〜



親子で
組み立て

「ヒノキのいい香りがするね!」

 平成一六年六月五日、篠山市東部、草ノ上地区にある市立村雲小学校において、地元産ヒノキ材で作った学習机・椅子の導入式が行われた。当日は、同小学校の五・六年生と保護者及び関係者が参加し、組み立て作業も行われた。

 この机・椅子は、地元丹波を中心に導入活動を行っている、(有)ウッドワーク丹波(代表 栗田隆夫氏)が、同小学校の五・六年生十二名を対象に寄贈したもの。 ウッドワーク丹波には、すでに氷上郡市島町立市島中学校への納入実績がある。本年は同町内の各小学校にも導入される予定。
 今回は、篠山市内の小学生にも木製の学習机・椅子の良さを知ってもらおうと企画された。








児童らも山で作業


 木材には、地元向井地区の山林で本年一月に伐採された五十年生のヒノキ材を使用。これも地元所有者からの寄贈。
 ヒノキは約十本伐採され、ここから十四セットの机・椅子をつくることができたと言う。
 伐採では、教職員や児童らも山に入り、作業を手伝った。さらに製材・乾燥の現場見学や天盤のオイル塗りも体験。
 出材から約四ヶ月を経て机・椅子となり、ようやく児童らの手元へ戻ってきた。


誇りをもって
大切に使ってほしい


 栗田代表は「市島町では三年間に約四百台を導入しました。しかし、今回のように伐採や製材・塗装にまで児童のみなさんが立ち会うことは、おそらく初めてのことです。この経験に誇りをもって、大切に使ってください。」と子供らに語っていた。

 親子で協力し行った組み立て作業は、約一時間で終了。子供らには、思い出深い一日になったようだ。
 地元産木材の活用においてユニークな取り組であり、今後の発展が期待される。



 こだわりの
 木造建築紹介


グループホーム
しゃくなげ
(篠山市)

 平成一六年四月にオープンした、NPO法人「にしきシャクナゲ」が運営するグループホーム。
 グループホームとは、小人数の介護が必要な痴呆性のお年寄りがスタッフと共同生活を営みながら、痴呆症の緩和、自立を支援する施設。

明るく開放的な空間

 中に入ると、外からはそうとは思えないほど高い天井の廊下。南側には九名の入居者とスタッフが、軽作業を行うために設けられた部屋があり、大きな掃きだし窓と、屋根を支える梁等の構造材を見せた高い天井が印象的。
 床面は敷設率六十%の半導体電気式床暖に、杉ムク材厚み三十o貼り。壁には、床から一mほどの高さまで腰板が貼られ、その上部に明るい色の珪藻土塗り壁。
 全体的に自然素材を積極的に見せる落ち着いた雰囲気のデザイン

木造へのこだわり

 建築基準法では、特殊建築物に分類される。このため、防耐火関係の規制が通常より厳しく適用される。
さらに、福祉関係の補助を受けていることもあり、審査段階から相当な苦労があったようだ。
 建築設計及び監理を担当した、河南建築設計室 河南眞美代さん(一級建築士・篠山市)に、このあたりのことを聞いた。  「設計審査を通すだけで、三ヶ月。その間この仕事にかかりっきりでした。特建(注・特殊建築物のこと)であれば、規制がきついことは最初から分かっているので、この種の建物はRCなどになりがちです。しかし今回の場合、施主さんとの打ち合わせの中では、まず木造でいくこと、空調は自然の風を積極的に取り入れること。そのほかにも様々な項目を決めていました。規制との折り合いをどうつけるか、本当に苦労の連続でした。」という。
 その、木へのこだわりとしては、「よくハイキングに出かけますが、荒廃が進む山の現実を見ると、これをなんとかしなければいけないとの思いに、しばしば駆られます。使うために育てられてきたのですから、とにかく木材として利用することで、森林の活性化に少しでも繋がればと言う思いが強くあります。」とも。






審査する側にも木造に対する理解を


 「建築基準法に加え、この種の建築物については、都道府県レベルで細かい指導があります。これをクリアしつつ、いかにコストを抑えるかという問題もありました。また、頻繁な設計変更で大変な思いをしましたが、審査する側にも木造の特建に対する経験と理解がどれだけあるかということもあると思います。ここで生活される入居者のことを考え、無垢の木材を使いたいというこちら側の情熱が通じたようで、最後には審査を担当されたかたから励ましの言葉をいただきました。苦労はしましたが、今後も同様の建物の話があれば、木造で行きたいと思います。やはり地元の木材を生かせる住宅を中心にやっていきたいと思います。」とも。
  図面を拝見した。数十枚もある手書きのそれからは、建物同様、女性ならではの細やかな気遣いと暖かみが感じられた。

施 設 概 要
・所在 篠山市川北
・構造 木造軸組二階建  最大高さ 六.四五m  延床面積 二五八m2
・用途地域 指定なし
・木材の調達及び使用量
 氷上郡内の製材所から スギ六五立米  ヒノキ一六立米 (一部アカマツ)

河南建築設計室  
  篠山市東古佐七三
 tel:079-594-1674
  fax:079-594-5105


小川三夫氏・渡邉晶氏による講演会
「古建築から見た人と木」開催される
〜 平成16年5月30日 神戸市内で約100人が聴講 〜
小川三夫 氏      渡 邉 晶 氏
 
 去る平成一六年五月三十日、兵庫県中央労働センター (神戸市中央区)で、「古建築から見た人と木」と題する講演会が開催された。主催は兵庫県立丹波年輪の里。講師は、(財)竹中大工道具館学芸部長 渡邊晶氏と鵤工舎(いかるがこうしゃ)舎主 小川三夫氏の二名。
 当日、会場には話を聞こうと百人以上もの人々が詰めかけた。一般県民を対象とした講演会であったが、参加者の中には、工務店関係者や若い大工職人などの姿も目立った。
道具の進歩と古建築
 渡邉氏は、「大工道具から見た古建築」をテーマに、道具の発達とその時代の建築物との関連を解説。
 石器を使っていた縄文時代は、主にクリ材が建築に使われていたが、鉄器の時代に入るとスギ・ヒノキ等の針葉樹を建築に使うようになってきたと説明。またその後、鉄の材質改良が進むと共に、効率よく切削できるよう鋸の形状も改良されていったという。
 道具に関しては文字による記録が少ないが、絵巻物や歌などで当時の
状況を推察することができるという。絵や古建築に残された部材の切削痕から、工人(職人)が大工道具を使う姿勢、つまり立ち作業であったのか座り作業であったのかが分かり、ここから彼らを取り巻く状況が、のんびりとしたものだったのか、急かされていたのかが推察できるなど興味深い話も。
 古建築においても木材資源の枯渇のため細い木を使わざるを得ず、柱も細くなっていったという。構造を維持するため「ぬき」を使うようになり、柱には正確な穴を開けることが必要に。そのための道具の進歩も欠かせなかったと言う。
徒弟制度と 技術伝承
 一方小川氏は、「木のいのち 木のこころ」と題して講演。師匠である故西岡常一氏との運命的な出会いに始まる徒弟制度のなかで、自身の工人としての歩みを中心に現在に至るまで、また、若い宮大工の育成についても語った。
 師匠一家と共に寝起きし、一年目に与えられた仕事は刃研ぎのみ。宮大工の仕事だけに打ち込む徒弟制度による技術の伝承は、現在の鵤工舎でもおなじだと言う。針になるほどまで一心に刃を研ぐこと。技術の伝承は、すべてここに戻ってくると言う。
 年間二〜三百人もの問い合わせがあるが、その中で採用に至るのは僅かに二〜三人。若者を採用する基準は「器用で賢い」ではなく「不器用でアホになれる」こと。両者を比べると一〇年で同じレベルになるが、その後の工人としての伸びは後者のほうが良く、また、大成すると言う。
 最後に、「今、国宝級の建築物の修理に使える木材がないのです。木を育てなければならない。」と締めくくった。


 

「ひょうご森の祭典
2004」に
七千人の来場者
〜 高 砂 市 〜

 森林を守り育てていく気運を高め、自然とふれあう場をつくることを目的に、去る五月二十三日、高砂市市ノ池(いちのいけ)公園をメイン会場に「ひょうご森の祭典2004」が開催された。主催は兵庫県、高砂市、(社)兵庫県緑化推進協会。当日は天候にも恵まれ、約七千人が同公園を訪れた。
 式典会場では、緑化・林業関係の表彰等が行われたほか、地元中学校の吹奏楽演奏や、お馴染みとなった宝塚音楽学校のコーラスなどが多くの来場者を魅了。
 他には、森林・林業関係を中心とした様々な団体、グループによる啓発展示やデモンストレーションが見られ、県内各地から集まった木工・民芸品や地域農林産物、食材などを販売する模擬店も含め約六十のブースが軒を連ねた。
 そま人競技(丸太切り)大会なども行われ、会場は一日中華やいだ雰囲気につつまれていた。
 来年は、美方郡村岡町で開催される予定。






県内の木工品紹介
丹波・氷上郡の薄経木

               (うすきょうぎ)


 明治後半から昭和初期まで、氷上郡は経木王国と呼ばれるほど経木の生産が活発であった。当時はヒノキの薄経木で織物やクリスマス用モールが作られ海外に輸出されていた。現在、郡内の3社がアカマツを材料に饅頭の底板や経木舟などを生産しており、福井木工所では大阪の有名豚まんメーカーの豚まんの底板を一手に製造している。

 福井木工所(社長 福井良雄)

 氷上郡春日町野村65 tel:0795-75-0156



木・ワード(9)

  「不燃木材」
 性能規定化された建築基準法(平成十年改正)により、それ以前には不燃材料となり得なかった木材だが、現在では一定の性能基準を満たすことで、不燃材料等として認定を受けることが可能。
 防火材料は基準法上、(1)不燃材料、(2)準不燃材料、(3)難燃材料に区分される。それぞれに要求される不燃性能は、(1)二十分、(2)十分、(3)五分で、この時間内に燃焼、変形・溶融・亀裂発生、避難上有害な煙・ガスの発生等が無いことが技術的基準。
 不燃材料等の認定を受けている木材製品は、薬剤注入し不燃化したものが多いが、重量の増加やコストなどの点で、用途は限られる。
 法令による防火関係の規制には、この他に構造(耐火・準耐火建築物)や、地域(防火・準防火地域など)によるものなどがあり、建築物の延床面積・階数・用途・室の種類・場所などに応じて、使用できる材料や構造が細かく決められている。






今年も好評
「木木市」
開催される

 丹波年輪の里名物「木木市」が平成16年6月12、13日に開催された。木材の端材、半製品などが安く購入できることで人気のイベント。
 両日で約6,000人もの木工愛好家らがつめかけ、大盛況だった。


〜 お 知 ら せ 〜
            「土の器・木の器」展 開催中

       木組を工夫した木造住宅のパネル解説と焼き物の同時展示。住宅相談会もある。

       場    所 県立丹波年輪の里  木の館ホール
       期    間 平成一六年七月一日〜八月一日
       問い合わせ 懐(かい)建築工房 tel 079-562-5583