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vol.81 平成16年5月
発行:兵庫県立丹波年輪の里(林産指導課)
tel0795-73-0725 fax0795-73-0727
e-mail wood@hk.sun-ip.or.jp
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題字 鳳翔会主宰 塩山重夫 |
新たな「木の時代」を目指す |
森林・林業
白書から |
概 要
林野庁は、このほど「森林・林業白書」を公表した。
物の量的な豊かさより、生活の質を求めるようになってきた昨今、この社会情勢を反映し今回の白書では、これまでにも増して人の健康・環境にやさしい質を全面に押し出した内容となっている。
木材=五つのマテリアル
白書では、国産木材の特性、その利用意義を次の五つに分類し、説明している。
(1)環境に負担をかけない社会形成のため、カーボンニュートラル特性もつ
「環境素材(エコ・マテリアル)」
(2)人に健康で快適な癒しの空間を提供する「健康素材(ケア・マテリアル)」
(3)意匠性のある空間を提供する「優美素材(ファイン・マテリアル)」
(4)地域の風土や文化に根ざした「風土素材(スロー・マテリアル)」
(5)我が国国土が生み出し、継続活用が期待される「自己素材(マイ・マテリアル)」
これら五つの視点から、国産木材の動向と課題を分析している。
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課題は木材の
理解と情報不足
平成十四年の用材自給率は、十八・二%と前年よりさらに低下。
戦後復興、あるいは高度成長期の木材需要に始まる外材シェアの伸び。その理由は価格、ロット、供給安定性など様々。
国産木材が使われにくい理由のひとつに、白書では、材料選択に大きな役割を担う建築士の存在をあげている。鉄筋コンクリートに比べて木造住宅の方が建築単価が低い場合が多いこと、水や湿度管理を適切に行えば、木造住宅は長持ちすることなどが、建築士に十分には理解されていないと言う。
また、普通の人々の生活の中で使われてきた木製品にも、たとえば箸や椀、鉛筆や机・椅子までもがプラスチックなど石油製品その他の代替材に取って代わられ、子供の世界でさえ、木材は遠い存在になってしまったとも。
「木の時代」は
人の育成から
我が国の木材資源は、現在の素材生産規模で利用するとした場合、既に五十年分の消費量をまかなうことができるほど蓄積があり、潜在的生産力があると言う。
この利用がカギとなるが、その方策として木材利用を支える人材の育成が述べられている。具体的には、子供の教育環境における木材利用。幼稚園や保育園などの園舎の木造化や、木製遊具の導入には、良い効果があるとしている。
一方、住宅などの建築物に木材を利用するためには、大工等建築技能者の存在が欠かせない。このため、未経験者などを対象に「大工育成塾」や講習会が開催
されており、技能者の確保、養成などが、今後重要となるとしている。
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木・ワード(8)
「燃え代設計」
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木材は鋼材とは違い、火災時の加熱による強度の低下は穏やか。
木材は燃えると表面に炭化層をつくり、酸素供給を絶つ。さらに断熱材として働き、それ以上の炭化を遅らせる。火災発生後も、ある程度構造を維持し続けることができ、避難のための時間をかせぐことが可能。
この考え方で、通常より規制が厳しい大規模建築物は設計され、従来は木造であれば主に集成材が使用されてきたが、この木材の特性は、製材にも当てはまる。
平成十六年三月、建築基準法構造強度関係の告示が改正され、壁量計算によらない木造建築物の構造耐力上主要な部分である柱・横架材に、一定の規格のJAS製材が追加された。
これに関連して、大規模な木造建築物に適用される、火災時の構造安全性にかかる構造計算の基準である「燃え代設計」について、JAS製材を使う場合の基準が設けられた。
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木造伝統工法と壁倍率
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■ トピックス ■ |
木造形式の違い
近年建築されている木造住宅は、熟練大工技術者不足やコストダウン、工期短縮が進んだ結果、枠組壁工法(ツーバイフォー)や在来軸組工法でもプレカット+合板など、工場での大量生産や短い工期に対応できる壁形式が主流。
木造建築には伝統工法と呼ばれる形式があるが、これと在来軸組み工法は、建て方の手順などが似ており、両者は一見同じように見える。しかし、その耐震要素(地震力に抵抗する構成要素)は大きく違う。
現在国内で大量に建築されている在来軸組み工法は、筋交い、構造用合板、接合金物等を構成要素とした剛構造。
これに対し伝統工法は、貫、総持ち等の柔構造。伝統工法は、金物等をほとんど使わず、ゆれを柔軟に受け流すような構造になっている。
法令で位置づけ
幾多の地震災害をくぐり抜け、千年以上もの長きにわたり倒壊することなく生き残っているものもある日本の古建築は、伝統工法による柔構造で支えられてきた。このような実例がありながら、そこで使われてきた方法は数値的証明が難しい工法であったため、法令で正当に位置づけられていない状態が長らく続いていた。
しかし、平成十五年、告示が改正され、伝統工法でも用いられてきた、土塗壁・格子壁・落し込み板壁についても倍率数の増や、新しく倍率が設定されるなどされた。これにより、ようやく法令で明確に位置づけられることになった。
それぞれの工法の概要は以下のとおり
土塗壁の主な仕様
柱との仕口にくさびを設けた貫を3本以上設ける。間渡し竹に小舞竹をシュロ
縄などで締め付け、貫に釘で打ちつけ。塗り壁は荒壁と中塗りの2段階。中塗り
土の塗り方と土塗壁の塗り厚により、三種類の仕様がある。倍率は1.0から1.5。
格子壁の主な仕様
規定の断面、含水率の木材を相欠き仕口により縦横に格子状に組む。木材は
継ぎ手なしとし、短ほぞ差しや大入れ差しで柱や横架材に緊結。倍率は0.9から1.0。
落し込み板壁の主な仕様
規定の断面、含水率の落し込み板をけやき等の三本以上のだぼで接合し、柱に設けた溝に入れ、横架材相互間全面に水平に積み上げる。柱相互間隔には制限がある。倍率は0.6のみ。
今回の改正、その意味
これら三種類の工法はいずれも、木材その他、昔ながらの自然素材を多く使う工法だが、在来工法で一般的に用いられる、筋交い+構造用合板で構成される壁に比べ、工期やコスト面で有利とは言えない。
しかし、法令で明確に位置づられたことで、伝統工法の粘り強さや優れた意匠、また、木・竹・土など自然素材を使うことで健康面でのアピール力を強めたい設計者、工務店にとっては朗報。
伝統工法の良い部分を生かした木造住宅づくりを考える上で、設計の自由度があがったとも言えるのではないだろうか。 |

格子壁の例 |
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| メーカーを訪ねて |
バイオマスで
「人間(ひと)と」
「地球」にやさしい
テクノロジー企業 |
川崎重工業(株)
(明 石 市)
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JR西明石駅近く、国道2号線と山陽電鉄本線との間の広大な敷地に、川崎重工業(株)明石工場がある。
会 社 概 要
船舶、鉄道、航空機等の輸送機器や産業用ロボット製造等の重工業分野で、その名を世界に知られた存在。近年では環境保全、リサイクル分野や、エネルギー分野での新しい展開もはかっている。
CO2排出量削減や循環型社会構築の必要性等が論じられるなか、今注目されているのが、バイオマスと呼ばれる生物由来の物質をエネルギー源とする新しい方式。同社は今回新しく実機規模の試験装置(右写真)を開発し、この分野での新たな展開を目指している。 |
バイオマスガス化発電システムで
発電効率二十%を目標
「火力発電や廃棄物処理などの分野が大規模集中型とすれば、バイオマスエネルギーは小規模分散型であると言えます」と説明するのは、同社技術研究所化学技術研究部の平田主管研究員(工学博士)。
「弊社は既にウエット系では畜産廃棄物を原料としたバイオガスプラントの納入実績があります。ドライ系である木質バイオマスの分野は、今後需要が見込まれる分野であると考えています。燃焼によりエネルギーを取り出す方式としては、既に岐阜県内での実績もありますが、今回のシステムは、原料である木材を効率よくガス化し、ガスエンジンにつながれた発電機から電力を取り出す方式です。」と言う。
タール分除去に独自技術
現実的なシステムを
バイオマスをエネルギー源とする場合、特に重要なのは、薄く散らばった状態の燃料(=林内に広がる間伐材、各製材所から出る端材の回収など)である点と、ここからいかに効率よく、しかも有害物質の発生を抑えながらエネルギーを取り出すかにかかっている。 装置はこれらを改良した点に特徴があると言う。
「従来、ガス化発電で問題となっていたのは、発生したガス中に含まれるタール分の除去です。今回の試験装置は、効率の良いガス化反応炉(ダウンドラフト型)でその発生量自体を減らし、さらにガス中からも効率良く除去するシステムです。これにより、装置全体として、小型化、高効率化、有害物質発生量の低減が可能となりました。さらに、実際の運用の場面では、含水率も様々な木材が投入されると思われますが、ガスの熱量変化にも柔軟に追従できるようになっており、この点でも現実的なシステムです」と言う。
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| 発電出力は一般的な製材所での必要電力量を若干下回る程度(標準八十kW)に、あえて押さえている。また、発電開始までの起動時間は三十分と短時間で済むと言う。これは、燃料となる木材の供給、必要とされる電力量、トラブル時の危険分散や実際的な運用のされかたなどを調査した結果とのこと。現実的なシステムを構築するうえで、このあたりの見極めは、エネルギー分野に多くの実績を持つ同社ならでは。 |
燃料には 製材残材を活用
氷上郡を対象とした事業化計画策定での成果をふまえ、試験装置に投入される木材は、地元製材所から提供された製材残材など。
平田さんは、「このプラントの実機をぜひ県内で稼働させ、兵庫のバイオマス資源の有効活用につなげて頂ければと思っています」と力強く抱負を語っていた。 |
川崎重工業(株)営業推進部
バイオマスグループ
FAX:078-921-1959 |
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安藤實博士による
製材機診断研修会 |
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平成十六年三月十四日、氷上郡氷上町において、製材機診断をテーマに研修会が開催された(主催県立丹波年輪の里)。講師は、製材機械、鋸技術の世界では知らぬ者はいないと言われるほど著名な、安藤實氏(農学博士・技術士)。当日は、県内各地から鋸目立て技術者二十五名が参加。製材所を影で支えているのが彼らだが、機械の調子を総合的に判断し、それ自体の不具合を見抜く高度な技術力が、鋸目立て技術者には求められている。
氷上町内の製材所で実際に使われている機械を題材に、挽き曲がり状況から不具合箇所の判定、のこ車の摩滅状況判断、障害原因の追求方法など、現場で即使える実践的テクニックが披露され好評だった。 |
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製材機械を前に
安藤實博士(右端) |
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県内の木工品紹介
神 戸 洋 家 具 |
日本の洋家具の発祥地は神戸とされ地場産業として神戸洋家具づくりの伝統は現在にも息づいている。ヨーロッパ風デザインを基調に洗練され風格のある洋家具は、高い技術に基づき機械の使用部分は少ない「手作りの高級家具」として多くの人々に愛されている。
団地協同組合 神戸木工センター
神戸市垂水区小束山本町 tel:078-784-5005 |
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左官工房「和」の
珪藻土壁塗り体験会
開催される
〜四月十一日
丹波年輪の里〜 |
室内環境を改善する効果があるとして、最近注目されている珪藻土。これを使った壁材の良さを多くの人々に知ってもらおうと、氷上郡氷上町内の左官技術者四名がつくるグループ「和(なごみ)」が、珪藻土の壁塗り体験会を開催。
当日は、丹波年輪の里春のフェスティバル期間中で、多くの人出があったこともあり、約五十名もの参加者が壁塗りに挑戦した。 |
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このイベントのために宝塚市から来たと言う男性は、「震災で半壊した自宅を改修しましたが、内装は自分でやろうと思い、今までそのままにしておきました。今日は左官のプロが指導してくれると言うので、自分で珪藻土を塗ってみたり、壁塗り全般のことを聞いてみたいと思います。」と語っていた。
途中、「和」メンバーが塗り方の見本をみせると、参加者からは「さすが」、「やはりプロはちがう」との声。壁に表情を持たせるテクニックは、簡単には真似ができないようだ。
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| 「和」メンバーは、予想以上の人気ぶりに、「要望があれば、次もやります。」と次回への意気込みを語っていた。 |
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〜 お 知 ら せ 〜
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*イベント
ひょうご森の祭典2004
高砂市市ノ池公園他で五月二十三日開催。
お問合せは、
兵庫県庁農林水産局豊 かな森づくり室まで。
te:078-362-4192
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* 講演会
「古建から見た人と木」
鵤工舎 小川三夫氏
竹中大工道具館 渡邊晶氏
兵庫県中央労働センターで五月三十日開催。
お問合せは、 丹波年輪の里まで。
tel:0795-73-0725
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