VOl.66
平成13年11月

発行: 兵庫県立丹波年輪の里(林産指導課)
【題字】 鳳翔会主宰 塩山重夫

合板による梁材の補強は有効か?

試作梁材の強度試験を実施
住宅の増改築時における梁材の補強方法の検証

第4回Hyogoフォレストツーリズモを(社)兵庫県建築士女性部会・健康な住まいを考える会・(株)日本土地山林と丹波年輪の里と共同で開催

 十月二十日丹波年輪の里主催によるHyogoフォレストツーリズモが山崎町の県立森林・林業技術センターと朝来町の(株)日本土地山林所有の森林内において開催され建築士など二十八名が参加した。

 今回のフォレストツーリズモでは、参加者が同センターにおいて試作梁材の強度試験と立木伐採現場での伐出作業などについて体験実習した。

 強度試験では比較対照用の通常材2本と合板による補強材3本が持ち込まれた。

 この補強材は、住宅の増改築(リフォーム)時に梁など補強の必要性が発生した場合の対応策として現場でも簡単に施工できる方法として考え出されたもので、補強材料は入手が簡単な構造用合板を木工用ボンド(酢酸ビニル樹脂接着剤)で梁の側面の二面に貼り合わせたものである。

 試験はセンター内の実大強度試験機によって実施された。結果は次の表のとおり。

 今回の強度試験はJAS規格に基づくものではないが、同センター研究員の考察を紹介する。

 一○五角の補強材の試験結果は、補強のないものに比べ最大荷加重やヤング係数ともに高い値が出たが、一方一○五×二一○のものは数値にあまり差がでなかった。

 これは合板と梁材との接着不良が原因の一つと考えられる。

 同様に一○五角二本を貼り合わせたタイプも試験中に接着面が剥離してしまった。

 また、今回の使用材はスギの乾燥材であったが、生産地や年輪幅が比較対照材のものとは異なっていたため素材そのもの強度が異なっていたと考えられる。 まとめ 通常、梁材はヤング係数がE=一二○程度の材を使用するが、今回の実施した試験材はE=七十以下のものであったので素材自体の強度が著しく低かった。

 合板による側面補強は合板自体のヤング係数が低いので(ヤング係数四十程度)側面補強には疑問が残る。

 同じ補強を考えるのであれば側面よりもむしろ上下の補強が有効であるとも考えられる。

 特に上からの荷重に耐えられるようにするためには梁の下部に材を貼り合わせる方法が強度が増すのではないかと考えられる。今回の試験では試験体の数が少なかったことと、素材そのものの強度のバラツキや、接着が不十分であったことなどが結果に大きく影響していると考えられる。


続・熱血業界人

林 典雄(52才)
(有)木星会代表(加東郡社町平木)

木をデザインし、心を形づける木工師 都会的な雰囲気を持ち中年貴公子風である。元々、商業デザイナー出身で大阪のディスプレイ会社を辞め十三前に社町に木工房をオープン。

 スギ・ヒノキにこだわりデザイン性の高い手作り家具等の製作により着実に県内での評価を高めている。

 独力で習得した確かな木工技術と豊かなデザインセンスに支えられ、素材の持つ特徴を十分発揮した長テーブルやイスは、個性的で大変美しい。

 作り手側の押しつけを排除し、ユーザーの思いを尊重しつつ、積極的な提案も行う。

 モノづくりのヒントはユーザーとの交流から得たものが多いという。

 毎年秋には工場内で展示会を開催し多数の顧客を集める。仕事は奥さんと共同作業で作る量には限度があるが、このペースで続けたいとのこと。

 因みに、高知県の木星会は別会社であるが、代表の川村純史氏とは会社時代の同僚でその影響によりこの仕事を始めるキッカケとなった。


オフィス訪問

(株)田代工務店
加古川市八幡町中西条930-7

TEL 0794-38-5652もともと自然とのつき合うのがうまかった日本人が、見かけの豊かさを求め続けて、心身と地球さえムシバまれていることにやっと気づいた。

 美しい地球と永い間つき合い。

 キーワードは【健幸】。すこやかで、元気な暮らし、おだやかで満足な瞬間。私たちは、できる限り化学物質を排除し自然素材を使用したうえで、さらにとても経済的な高断熱・高気密住宅を木の優しさ、温もりを活かした楽しいデザインで提案している。

 木、化学物質、高断熱高気密に関する質問を大歓迎。


県内の木工品紹介

丹波の木製額縁

 丹波は西日本の木製額縁の主産地。

 現在、氷上町等で7社が操業。モールディング加工の金箔額縁と一般額縁(デッサン額)に大別。北米アルダー材が多用され、芯材には樹脂使用も多い。価格は千円前後から金箔額縁の5万円以上のものまで各種。竃鱒マ製額は丹波の額縁生産のパイオニアで老舗企業。

0795-82-6246 氷上郡氷上町竃鱒マ製額


林野庁長官、但馬に!

11月2日(金)、日高町江原の日高町文化体育館で、予算編成中の加藤鐵夫林野庁長官を招き「林政の改革」と題して林業講演会が開かれた兵庫県林業会議の主催によるもので、但馬地域の県民を中心に六百人の観衆で二階席まで満員の盛況となった。

 加藤長官は、混迷する我が国の森林・林業を立て直し、二十一世紀の森林を守り育てるため、昭和三十九年に制定され、林業総生産の拡大を掲げた林業基本法を見直し、新たな基本施策の方向を定めた新森林・林業基本法の役割等を約1時間講演した。


私の提言

「ほんまもん」の木造住宅をもっとアピールしよう

 これは、田舎の一設計士による小さな繰り言だと思って聞いて頂きたい。直下型の阪神大震災が起きてから、もうすぐ7年が来ようとしている。

 ところが七十〜百年周期のプレート型地震はいつ起きてもおかしくない状況だと言われる。当初、木造建築そのものの耐力が疑問視されたが、木が持つあたたかみ、伝統工法のよさが住宅として見直されてきている。箱のように面全体で水平力等に抵抗するパネル形式等がベターだが、地震によって生じる耐力壁の引っ張りによる横架材との接合部破断で多数の家が倒壊したと言われる。昔ながらの、すぐれた仕口である渡りアゴ等と、法・改正の告示による、仕口・継ぎ手の金物を併用することが望ましいと思う。

 今日、コスト面ばかりが重視されがちだが、地方の工務店としては、ベタ基礎・ネコ土台等いいものを標準仕様として、鉄やコンクリート、集成材にはない「ほんまもんの家をもっとアピールすべき。

 同じ土俵の上で設計士と工務店がお互いの持ち味を理解利用しながら、施主の要望に応えられる住宅づくりが本当に求められるべきだと思う。

 さて、肝腎の木の方だが、日本が森林王国の割には、開発による自然破壊、また戦後行った植林の管理不足による材質ダウンがとりわけ問題となっている。枝打ちや間伐が行われないと下草も育たず、山の治水が悪くなる一方で土砂災害が起こりやすくなり、その上材質も落ちるといった状況が一部の産地を除いて延々と続いている。従事者のスクラムももちろんだが、国は高賃金でやりがいのある林業へと、若者を引きつける施策を取らなければどうしようもないところまで来ていると思う。

 内地産の質の良い木材の需要を増やすためにも、もっと木造住宅を押していかねばならない。一人の力はどうしようもなく小さいが、いろいろな人たちと協力しあいながらこの多様化された今を私なりに生き抜いていきたいと考えている。

 河南建築設計室(篠山市)
 一級建築士 河南眞美代さん


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