VOl.60
平成12年10月

発行: 兵庫県立丹波年輪の里(林産指導課)
【題字】 鳳翔会主宰 塩山重夫

間伐材有効利用への取組

 森林林業の状況は、採算性の悪化等林業を巡る厳しい経済情勢等により、森林の公益的機能の発揮に必要な間伐・保育などの施業が十分に行われていないのが現実です。

 この状況を打開するためには、間伐材や小径材(主伐時における二番・三番木)の利用方法の開発と需要拡大をセットで考えなければ問題の解決にはならない。

 そこで、今回は近年土木用資材として注目を集めつつある木製品と木製構造物の施工事例を紹介するとともに木製品の将来と課題について探ってみる。

1.土木用資材としての木製品

 これまでの土木用資材は、施工・管理・耐久性・製造コスト等の重視からコンクリートや鋼製主体の製品が多かった。しかし、近年環境に対する国民の意識の高まりにより自然にやさしい木製品の使用が増えている。用途としては、木材が腐っても構造自体に問題のない物、補助的な工作物、小規模な構造物、維持管理が容易な物に限られているが、その使用量は年々拡大しており将来有望である。

 兵庫県下でも、農林・土木・などの各部署で様々な製品が使用されている。

2.使用事例について

 竜野農林事務所では「Wood Max」(以下ウッドマックスという)を民間企業と共同開発し使用しているのでこの様子を取材してみた。

(1)使用用途
 丸太積土留工・間伐材使用簡易床固工・間伐材使用化粧型枠・間伐材使用化粧工

(2)使用材料
 骨組部-->L型鋼材 
 壁面部-->間伐材(スギ・ヒノキ)

(3)施工工程及び現地加工
 ウッドマックスは、L型の鋼材に特殊な金具で丸棒加工された材を取り付ける方法で施工している。鋼材の部分は製品開発業者が製造しているが、丸棒は地元の小径間伐材を使用している。材はスギで強度計算されているため、スギ・ヒノキどちらを使用しても問題はない。製品自体は工場で加工された物を使用するので、現地では組立てるだけである。

(4)丸棒の耐用年数
定期的に強度検査(打撃法)を実施。腐蝕等劣化の激しい物について取替えを行う予定である。

(5)丸棒の供給体制について
(ア)資材の供給地竜野農林管内の森林間伐材
(イ)供給主体・団体竜野農林管内の森林組合(一宮町森林組合と波賀町森林組合)が集材と製造出荷している。
(ウ)製品の品質・規格・単価・標準仕様 直径10p 長さ2m
 ・製品の均一性・運搬・現地での組立て効率・構造物の出来上がりの面から丸棒加工機による加工材を使用している。
 ・基本的に材の乾燥は行っていない。
 ・兵庫県では将来施設の維持管理を行う予定であるので防腐処理は行っていない。
 ・製品単価(丸棒)は滑キ算で8万円前半である。(運搬費込み)

3.製品に対する意見

ウッドマックスの特徴は、前面に張られた木材が腐った時に取り替え可能であること、自然素材である間伐材を使用しているので景観に調和していること、施工現場では簡単なボルト締めによる組立ができるところにある。

環境問題が大きく取り上げられるようになった現在、製造コストや耐久性だけで商品を製造する考えは通用しなくなってきた。ウッドマックスのすべての素材が環境に優しいとは言えないが、前面に張られた間伐材は循環型資源であり森林の荒廃の防止、炭素固定という面で優れた性能を持っている。コストの面でも製品そのものは安くはないがトータルコスト(製造時や廃棄・処分に掛かる環境への負担、CO2の排出)を考えれば一概に高い物だとは言えないのではないか。また、森林の間伐は一度行えば良いというものではなく、樹木の成長とともに間伐は繰り返される。将来、施設の維持管理でも使用される丸棒は、資源の有効利用の面でも非常に優れていると言えるであろう。

4.県内における利用拡大の可能性

 ウッドマックスの丸棒は丸棒加工機によって加工された既製品であるため、小径材自体に付加価値が加わり材価の安定が図られている。また、規格が一定しているのでこれ以外の商品にも流用可能である。

 すでに農林事務所以外の土木事務所や市町発注の土木工事でも使用されており、今後ますます利用拡大は増えると思われる。


林産情報

 前回に引き続き、平成12年度林産加工研修に参加して住宅・林産加工に携わる専門の方々から色々なデーターをいただいたので紹介します。

乾燥材を使った新しい住宅建築の推進
日本住宅・木材技術センター  研究開発部長 西村勝美

1.住宅の品質・性能への要求

 住まいに関するアンケート実施の結果。

 施主が住まいに対して求める要求は、耐震性耐久性などの性能・機能に対するものが最も高いということが解りました。

 大手住宅メーカーと激しい競争が見込まれる中で、地域の工務店・大工が展開していくには技術力を高め、品質・性能に優れた良質の住宅を安価に供給する工夫が必要となっています。

 その工夫の一つとして乾燥材を使用した住宅の建築があげられるのではないでしょうか。

 今回は乾燥材を使用するメリットについて考えてみたいと思います。
2.地域工務店の生産性の現状

 一般的な木造軸組工法住宅の坪当たりの人工数は、8.9人/坪と他の工法と比べて生産性が低くなっています。特に木工事、内部造作工事の人工数が多く、大工工事の生産性の向上が課題です。

3.木材の部品化は乾燥材とプレカット加工

 大工工事の生産性の向上の手段の一つにプレカットによる木材の部品化があります。

 しかし、いくらプレカットを行った木材であっても未乾燥材であれば「曲がり、ねじれ、反り、収縮」が起こり、性能の低下やクレームの対象となり意味がありません。

 乾燥材の使用とプレカットはセットで行う必要があります。


乾燥材の製造木材乾燥の目標数値

含水率:人工乾燥(KD)18%以下(土台たる木は25%)
集成材(EWS)12%
羽柄材:JASの曲がり基準値の半分以下

乾燥材のプレカットプレカットの加工能力

構造材:CAD/CMAシステムの全自動加工
 加工精度0.1mm
羽柄材:全自動加工、3次元自動加工
 加工精度0.5mm
壁・床合板:全自動加工
 加工精度0.5mm

4.木工事の所要人工比較

 労賃が相対的に高額になっている中、建設コスト削減の大きな方向としては労務費の節減が考えられます。生産性の低い現場での加工調整を極力減らし、プレカット加工した部品化工法が一般在来工法に比べどれだけ省力化できるか調査実例により比較してみましょう。


5.一般在来工法と部品化工法とのコスト比較

 今までみてきた木工事につていて、コスト比較をしてみます。

条件

大工の手間の平均値 :常用日当20,000
手間(見習い):常用日当13,500(部品化工法)
総二階・延べ床面積48坪の場合、部品化工法では1,190,000円(約33%)のコストダウンになりました。省力化・効率化と手間(見習い)の有効活用が主要因であると思われます。

資材費のコストアップ

 乾燥材のコストアップ分については、建物の規模・樹種によって異なりますが、以下の程度となります。


リストへ戻る