VOl.58
平成12年5月

発行: 兵庫県立丹波年輪の里(林産指導課)
【題字】 鳳翔会主宰 塩山重夫

「ISO14000」の導入を考える

■はじめに

「ISO14000」という言葉を耳にしたことのある人は多いと思います。
 しかし、ISO14000シリーズについて内容を正確に把握している人は少ないのではないでしょうか。本来この認証は環境への取り組みを判断する導標として使われていますが、このことを難しい試験にパスしたらもらえる有名大学の合格通知のようなものと勘違いしている人も少なくないのではないと思います。実際このシステムは「門戸は狭いが後は素通り」といわれる日本式ではなく、「入ってからの研鑚が勝負」の欧米式であり、取得後にいかに活用するかが問われてくるものです。

■「ISO」とはなにか?

 ISOは、国際規格を決める民間の組織で世界120カ国以上が参加しています。

 日本国内の工業規格にJASがあるように、世界的レベルの規格を策定していると想像すればよいでしょう。

 ISOには9000シリーズと14000シリーズとがあり、1987年にISO9000シリーズが制定されました。これは、これまでのような物に対する規格ではなく「品質管理及び品質保証のシステムのための一連の国際規格」であり、製品の不適合を防止する管理システムを承認するものです。

 そして、1996年に発効されたISO14000シリーズは、環境に関するシステムの規格で品質に続いて環境管理や環境監査のシステムを作ることを目指しています。つまり、両者とも初めてそれぞれのシステムまでを規格化したもです。

 今や日本では、ISO9000やISO14000のシリーズの認証を取ることが一種のブームとなり取得組織数は世界でもダントツの環境ISO大国となっています。
(参考文献 日経ECO21・3月号)

■ISOはなぜ必要なのか

1.ISO14000の必要性
なぜ企業が普通いやがる利益につながらない環境に関する規格を、多くの企業が競って取得しようとしているのか?それは「ISO14000シリーズ」の取得が環境パスポート(環境問題対策のお墨付き)になる可能性が強いからです。

 国際的にみるとEU諸国などでは貿易相手にこの規格の取得を求めてくると思われます。これによって、ISOを取得していない企業からは商品を購入しないとしています。すなわち、商品取引の停止を意味するのです。

 実際国内でも大手家電メーカーでは下請け会社に対して、ISOの認証取得を強制はしていませんが、システムの構築が望ましいとしています。ISOの取得の有無によって下請けや孫請けをふるいにかける目的があるのだとの関係者の話もあり、林業関連の企業や生産者も「うちには関係ない」とは言い切れないのではないでしょうか。

 一方市民側(消費者)にも環境負荷の低いものなら価格が少々高くても買う傾向が出てきています。

 いわゆるグリーン・コンシューマーの増加で、これらの動きが全体としてISO14000の取得を後押ししています。

2.認証の取得に向けて
 この認証を取ろうとするにはどのように進めればよいのでしょうか。

 まず、最初に経営組織が自己申告し、作成されたシステムにそって予行演習並びに内部監査を繰り返しマニュアルを作成します。これを第三者の審査機関に審査の申込みをおこない審査・認証を受けるのですが、この認証を受けるまでには莫大な事務と各種手続きで数百万円前後の費用が掛かります。

 また、3年ごとに更新申請を行わなければならず認証の持続が難しいものになっています。すでに大手住宅メーカーでは、事業所や製材工場で認証を取得しており、環境に優しい住宅造りを売り物に消費者獲得に動いています。

3.問われる森林・林業経営者の姿勢
 この認証が広がると、世界の木材購入者の多くがISO14000の認証を取得しない生産者や企業から木材を買わなくなる可能性があります。

 事実、ISOの認証に関わる関係者が扱う木材の量や森林の面積は、世界の貿易の半分以上を占めていますし、これらの関係木材生産者や企業もはっきり「我々が環境に配慮して作った製品を買うべきだ」(特にヨーロッパ)と言っています。

 しかし、日本の森林所有者や中小の木材関連業者の中にはISOを取る意欲のある人はほとんどいないのが現実です。

 これまでの日本の林業が全般にかなり環境に配慮されており、しかも基本的に持続生産されているので、あえて環境に配慮したシステムを示すことをしませんでした。

 しかし、これからは市民に対してはっきり見える形でアピールする必要があるでしょう。
(参考文献 伐って燃やせば森は守れる 田中淳夫 洋泉社)


環境共生を目指す住宅特集 その1

 1997年に地球温暖化防止のため国別にCO 2の排出量が規定され、環境問題は関心の対象から具体策の実行へと移行してきました。その流れを受けた「環境共生住宅」がスタート。メーカーの開発も進み商品も増えてきました。公的助成策も整い、住宅購入の有力な選択肢になってきた今、環境共生住宅について考えてみたいと思います。

■地球と家族に優しい住まい
 昨年の3月に財団法人住宅・建築省エネルギー機構による「環境共生住宅認証制度」がスタート、検討しやすく環境対策を具体的に示す動きが及んできました。周囲の環境を大切にしながら、住み手の快適な生活も実現する家として「環境共生住宅」が打ち出されたのです。

 環境共生住宅が目指すのは、地球環境の保全、周辺環境との調和、居住環境の健康・快適性の三つの充足となっていますが、大手住宅メーカー各社では廃棄物削減とCO 2排出抑制の観点から、住宅製造から廃棄までの各段階で具体策を実施しています。これは前のコーナーでも紹介しましたISOの取得でありこのような企業が増えつつあります。

 消費者の関心の高まりも大きく、90%以上の人が住宅を購入・建築する際「環境共生住宅」を考慮に入れて選択すると答えています。

 住宅設備の中で、特に注目されているのが省エネルギー性能のアップと身近になりつつある太陽光発電システム、環境ホルモン(ホルムアルデヒドなど)等の問題から換気システムなど健康と快適性への配慮したものなどです。

 また、これらの環境性能を数値表示して比較しやすくする活動も活発です。

 住宅金融公庫の優遇制度や公的補助金が充実している今、このような設備・性能も含めた住宅造りが求められつつあります。

■環境共生住宅の基礎知識

環境共生住宅にはいくつかの制度や基準・住宅の性能を示す値などが決められており、この基準に合った住宅にには公的な補助や融資が受けられます。

 木造住宅建築にあたってもこの制度をうまく活用しアピールする事が必要となるでしょう。

1.環境共生住宅認定制度
 (財)住宅・建築省エネルギー機構が昨年創設した制度。認定の基準は、最低限の必須条件と、自由な発想で技術や工法の提案を求める提案型の2段階からなるもので、必須条件は、省エネルギー性能、耐久性能、立地環境への配慮、バリアフリー、室内空気質の5項目。提案型は省エネルギー型、資源の高度有効利用型、健康快適・安全安心型、地域適合・環境親和型の4つのうち2類型について技術面で工夫を提案することが条件。これらをクリアした住宅には「環境共生住宅」認定マークが付されることになっています。

(次号につづく)


リストへ戻る