Vol.57 平成12年3月
発行:兵庫県立丹波年輪の里(林産指導課)




木材とダイオキシン PartU

   前号にてダイオキシン関係の概略について記載しましたが、現実には個々の木材業者で焼却施設を持つことは大変難しい状況です。
 では、実際製材所等から排出される木質系廃棄物はどのように処理されているのでしょうか。
 木質系残廃材は3,746m3ありその内49%が焼却されていました。しかし、 木材工業からは1,566m3で、そのうち95%が再利用されています(平成3年)。 案外、木材工業では焼却処分はしていないわけです。
 実際に木材工業から排出される木質系廃棄物としては主に次のものになると思います。
  • 背板などの端材
  • 鋸屑(オガ粉)
  • バーク
 再利用の実態として背板の96%および端材の54%がチップに、 鋸屑の68%が敷料に、バークの28%が敷料、26%が堆肥・土壌改良材に使われているという調査報告(森林総合研究所)もあります。
端材からのチップならば輸入品となんとか競争できる状態です。
 また鋸屑については畜産の敷料としての需要があり、 現在供給不足ぎみとのことです。
 最も問題になると思われるのがバークで、 その多くが焼却されてきたようです。
●価値の高いものとセットで!
 バークの用途としてはバーク堆肥があげられますが、現在供給過剰状態のため、バークだけではほとんど価値がないようです。
 県内のある仲介業者では、バークだけではほとんど収益がないので、製材所などからはオガ粉とバークをセットで引き取っています。オガ粉とバークの割合で、オガ粉が多ければオガ粉代を支払うが、バークが多ければ逆に引取り賃をもらっているとのことです。
 今のところスギとヒノキのバークなら受け入れでき、粉砕したものなら買い取ってもらえるようです。
●おわりに
 今回パートUではなんとか対策をと思いましたが、現実には焼却炉が使えなくなることで、問題はさほど大きくはないように思います。
 今後、有機農業など有機肥料の需要が増加すればバークの価値がでてくるかもしれません。
 以前にも当紙面にて述べたことですが、バイオマス発電所が地域ごとにできれば、 問題は一気に解決するのであろうけれど。


木 の 燃 焼

 木材は燃えることが短所でもあり、長所でもあります。 木が燃えて最終的に二酸化炭素と水と灰分(ミネラル)になり、 ダイオキシンのようなに非常に毒性の強い物質を生成しないことは、材料として非常にクリーンです。
しかし、住宅など使用中に燃えてしまうと大変です。都市部で木材が使用しにくい原因ですが。
 木は密度にもよりますが、280℃くらいで燃えだします。120℃くらいでも長期加熱すると燃えだします。
●燃焼のメカニズム

 木材は火炎にさらされても直ちに着火、燃焼することはありません。図のように、まず100℃までに水分が蒸発します。その後150℃くらいで材表面が褐色に変色してきます。ここまでは木材の高温乾燥と同じですね。
 200℃くらいで木材の成分が熱分解されガスがでます。 ガスは二酸化炭素と水蒸気の不燃性のものと、一酸化炭素、メタン、エタン、水素、アルデヒド、ケトン類、有機酸などの可燃性のガスが発生します。このとき、材表面は炭化状態になります。
 250℃をこえると、熱分解が急速に進み可燃性ガスが増大して引火し、煙が発生します。
 300℃に達すると割れを生じ、可燃性ガスが噴出し、材内部が炭化し始めます。炭化速度は、厚さ25mmの板で一分間に0.83mm、厚さ50mmの板では0.63mmで、厚みの大きな材ほど炭化速度は遅い。
 500℃くらいで煙のでない赤熱燃焼し、炭が消失します。

●火災と木材

 火災時、木材表面から火炎はでますが、表面に炭化層を形成し酸素の供給を阻止するとともに、内層への熱を遮断して熱分解を抑制するので、芯まで燃えつきるまでの時間が長く建物が火災により倒壊するまでの時間はきわめて長くなります。
家財はダメになりますが、 その間に人命救助は可能ではないでしょうか。構造材は、できるだけ断面は大きくしましょう。
 また、家具や装飾類から有害物質が発生しないものを選ぶことも重要でしょう。

参考文献
・木材活用辞典・・・木材活用辞典編集委員編


トピックス 1

住宅品質確保促進に関する法律について

 住宅品質確保促進に関する法律(以後品確法)の施行令がまもなく公布されます。今後のスケジュールは次のようになるようです。
 在来軸組工法の住宅にとっては厳しい法律ですが、二月下旬に建設省がインターネットで性能表示についての素案を提示し、パブリックコメントを募集していました。
性能表示制度の素案の内容については建設省ホームページ(htttp://www.moc.go.jp/)を参照下さい。

素案の問題点
■等級について
 例え性能がよくても性能評価書がななければ等級は最低のランクとして位置づけられるので、住宅メーカーとの競争において中小工務店にとっては不利になるでしょう。
■評価基準
 例えば、空気環境では合板やパーティクルボード゛などのEWは等級分けでされるが、無垢の木材の場合は「該当なし」で評価されません。
 自然素材度を示す評価基準が必要ではないでしょうか。


トピックス 2

「木材乾燥と水分管理」

 含水率管理の精度を上げるためには
  • 乾燥前の材料選別
  • 急速に乾燥しない
  • 乾燥後の十分な養生
  が必要である。

 スギの場合初期含水率は概ね40〜150%の広い範囲に分布しているため、仕上げ含水率を均一にするのは大変困難である。しかし、乾燥前に重量選別によって似通ったものだけを集めて乾燥すれば、仕上がり含水率をある程度狭い範囲にコントロールすることが可能である。
 スギ材の乾燥コストの低減・品質の管理を考えると、「葉枯らし」を行うなり伐採地や伐採時期が明確な材を同時に乾燥室に入れる等の工夫を行い、含水率をある程度コントロールする必要がある。ちょっとした工夫がコストの低減、品質管理に寄与することになると思われる。素材から製材までの関係者の連携が必要なのかもしれない。
 また含水率管理上、含水率の測定が重要となるが、現場では計器(含水率計)を使っての測定が広く行われている。しかし、材質のバラツキが大きいために、計器の限界がある。これからの含水率測定器具については、材内部の水分も検出可能な含水率計の開発に期待がかかる。
 平成12年に施行される住宅新法に合わせ、住宅建築における木材の品質管理が大切になってくるが、高品質の乾燥材を低コストでコンスタントにユーザーに提供できるシステムの構築が必要になってくる。


木造建築物探訪

箱木千年家
 今回は箱木千年家を紹介します。この建物は呑吐ダム建設の際現在の場所に移築復元されました。建築時期は14世紀まで遡るといわれている。当初の資材はあまり残っていないとのことですが、手入れ次第で長く持つものです。公共施設ではありませんが、一般に公開されています。
 このシリーズ平成十年度県産木材需要コンクールに、加美町の「道の駅」が知事賞を受賞したことがきっかけで10回を数えます。
 取り上げた建物は新しく建てられたものもありますが、古いものそしてメジャーでないものまであります。
 本年から新築住宅には十年の瑕疵担保保証が義務づけられますが、うらをかえせば10年持てばよいということかもしれません。
 県下には百年を経た木造建物もたくさんありますが、総てが名のある名工が建てたものでもなく、普通の棟梁が心をこめた仕事です。数字で表せない匠の技と知恵をもっと知って欲しいものです。


木の本

スギの新戦略T
住宅市場開拓編

著者  遠 藤 日 雄 編
発行  鞄本林業調査会
定価  2,500円+税

 今回は雑誌をご紹介いたします。この「木のこころ」は一昨年に創刊され、隔月で現在八冊が発刊されています。
 内容は木材や各地での国産材による木造住宅の情報、その他日本の伝統的建築方法など、木材や木造住宅に関わる方々ならば参考になる内容です。
 年輪の里にも創刊号から最新号まで所蔵しております。一度ご覧ください。


 スペースシャトルエンデバーが十一日間の飛行を終えて無事地球に帰還した。立体地図作成のデータ取得などの成果が大きく報じられていたが、記者会見で毛利さんは『地球の自然の空気、湿気がすばらしい。』という意味のことを言われていた。

 日本は一般に夏むし暑く、冬は厳しい寒気にさらされる。だからこそ夏涼しく冬温かい住宅が望まれ、工夫され、風土にあった家がその地域に適した材料や様式で建てられてきた。

 いま住宅のパンフレットには『高気密、高断熱の省エネ住宅』という言葉が溢れ、さらに断熱化による冷暖房エネルギーの削減が性能評価されようとしている。省エネ住宅を建てるために石油製品を使用し化石エネルギーを消費する。生産から廃棄まで全体を眺めた時、本当に省エネで環境にも負荷が少ないだろうか。

 クーラーの冷気より窓から吹き込む涼風、エアコン暖房の温風より日だまりの温かさの方がはるかに身体に心地よい。時には人工の力を借りるにしても、一日の疲れをいやす家は制御された空間ではなく、より自然に近いやすらぎの得られれる空間である。自然の力をうまく利用する技術が求められていると思う。(藤原)