Vol.55 平成11年11月
発行:兵庫県立丹波年輪の里(林産指導課)




性能規定化への取組

 性能化規定に対し無垢の国産材で強度性能についての取組みが始まっています。強度性能に取り組んでいる国産材製材工場は、聞き取り調査によれば、全国に約10箇所ほどあるようです。
 強度性能を表示するにはグレーディングマシンだけではなく、乾燥機、モルダーや4面プレーナー、含水率計が必要となります。実際導入されているところもセットで導入しているようです。
 また、高知県レイホク協同組合では丸太の段階で強度と重量で仕分けをしているようです。丸太段階の強度により構造用、造作用、下地用に分けるそうです。ヒノキでは著しく強度の低いものは少ないと思いますが、スギの場合には丸太の段階での用途の仕分けは重要だと思います。
※ 丸太と製材後の強度性能の関係については後述の兵庫県木材利用技術研究会研修会についてを参照下さい。

■強度性能の提示の現状

 針葉樹の構造用製材で、JASの機械等級区分表示ができるJAS認定工場は残念ながら現在ありません。
 JASで認定されている機械等級区分装置は8機種あります。しかし、認定機があっても即JASの認定工場になれる訳ではありません。実際のところ曲げヤング係数を測定しJASの表示方法で示しているだけというのが現状です。またその前段階の乾燥がうまくできないため製品に表示できないケースもあるようです。  来年6月頃の住宅品質確保促進制度の施行を前に、性能表示できる国産無垢の製材品がごく一部しかないということは、ますます国産材の衰退に拍車がかかることでしょう。
 また、生産者が性能表示をしなければ、住宅メーカーやプレカットメーカーが独自にグレーディングマシンを導入すか、もしくは性能表示の進んだ集成材一色になるかでしょう。

おわりに  兵庫県においても取り組む必要はありますが、現状は郡部では地場工務店への納入がほとんどだったりで、大半の製材所は乾燥もグレーディングも当分関係ないと考えられていると思います。
 しかし、郡部でさえも大手住宅メーカーがどんどん進出しています。正直な話、地場工務店にがんばってもらいたいのですが、どこまで持ちこたえられるのでしょうか。
 兵庫県の場合、製材所が単独で取り組むのは無理でしょうから、流域や協同組合での取り組みになるでしょう。それがよいかは意見が分かれるところですが、対応は早いほうがよいのでは・・・。


木材の含水率

 密度は単位体積当たりの重さですが、似た言葉で比重があります。比重は同体積の水(4℃)の重量との比で、単位の有無の違いで数値は同じと考えてよいでしょう。
 また、ひとことに木材の場合、密度といってもいろいろあります。通常使われるのは気乾状態での気乾密度が使われます。
生材密度 生状態の密度
気乾密度(気乾比重) 気乾状態での密度
全乾密度(全乾比重) 含水率0%での密度
真密度(真比重) 木材の空隙を一切取り除いた
実質の密度で、細胞壁の密度
と考えればよい。樹種によらず
約1.5g/cm で一定。
容積密度 未乾燥時の体積で全乾状態の
重量を除したもの
 密度は下表のように樹種ごとに違いがあります。この違いは、含水率と空隙率によります。
 表の数値は平均値で実際には同じ樹種でも密度には幅があります。
 木材全て均一ではなく、ご存知のとおり心材もあれば辺材もあり、年輪ひとつにしても早材部、晩材部があり、年輪幅も異なり、それぞれ密度にも幅があります。

■同一樹種内の密度の違い

早材と晩材
 晩材のほうが早材より密度は大きく、スギでは約10倍の差があります。
 スギやヒノキの特徴としては、未成熟材である1年〜15年生までは晩材の密度は年々大きくなり、成熟材では一定となります。早材では逆に未成熟材では密度が大きく年々小さくなり、成熟材では一定になります。

年輪幅と密度
 針葉樹の場合、成熟材では年輪幅が広いほど密度が低下するといわれています。しかし、スギではカラマツやアカマツほど明瞭ではないようです。これは、年輪に対する晩材の割合が影響するためです。

■密度と強度
 一般に密度が大きいほうが強度が強く、右上表の樹種別の密度と強度(ヤング係数)を見ればよくわかると思います。  ただし、前述のとおり針葉樹の場合、未成熟材では密度が大きいが強度は低くなります。


丸太と製材後の強度について
−兵庫県木材利用技術研究会研修会から−

 去る10月11日、12日に開催されました兵庫県木材利用技術研究会研修会でおこなわれた試験結果についてご紹介します。
 結果は下表のとおりで、丸太・製材後・実大試験ともに大差なかった。丸太の値が少し高いのは、辺材部の強度の高い部分が製材で除去されているためと考えられます。また、部位別に見ると理論どおり元木→2番木→3番木と部位が高くなるほど強度が高くなりました。
 この結果から判断すれば、丸太段階での仕分けは大いに有効のようです。今後原木市場でのグレーディングも視野に入れる必要があるでしょう。
今回は生材で試験されましたが、乾燥してモルダーやプレーナーで仕上げると乾燥後は少し強度が増すがモルダーなどで表面を削ることで辺材部の強度の高い部分が除去されるため少々強度は下がるようです(心持ち柱の場合)。

実験内容
@丸太の段階でヤング係数を測定    
 
A製材後のヤング係数を測定       
 

 
BJAS目視等級区分で区分        
C実大曲げ試験によりヤング係数を測定

結果
丸太の部位 丸太 製材(12cm角)
曲げヤング係数 曲げヤング係数 曲げヤング係数 JAS機械等級区分 JAS目視等級区分
(縦振動法) (縦振動法) 実大曲げ試験 等級(許容応力度) 等級(許容応力度)
No.1(元木) 55.9 56.5 53.6 E50(75) 2級(85)
No.2(2番木) 73.4 64.9 64.4 E70(95) 3級(75)
No.3 (3番木) 76.6 70.2 71.3 E70(95) 2級(85)
※使用した材料・・・スギ37年生
丸太部位 備   考
No.1 末口周囲77.4cm 長さ247.0cm
No.2 末口周囲69.8cm 長さ245.7cm
No.3 末口周囲63.6cm 長さ246.6cm


乾燥材の実態調査

 かねてから乾燥材の含水率表示には疑問がもたれていますが、実際に調査した例がありましたのでご紹介します。
 これは、スギ、ヒノキのJASD20表示のある製材品を水分計と全乾法とで調査してます。その結果はヒノキについて一部除湿乾燥されたものを除いては表示どおり含水率20%以下だったとのことです。しかし、スギについては全てのロットに基準を超える材が混在していたそうです。
 今後JAS製品の需要拡大を目指すには十分な含水率管理をおこなうことが必要と締めくくられていました。


木造建築物探訪

国領郵便局
 今回は平成11年11月1日オープンした国領郵便局です。外観は木造とは見えませんが、国産材を使用して建てられており、事務所内にはヒノキの太い柱が並んでいます。
 谷川局長のお話では、五百u未満の国有郵便局の建築は、林業振興のため国産材を使用する方針とのことで、他に県下で二か所の郵便局が木造で建築されているとのことです。


Hyogo フォレストツーリズモについて
 今年もフォレストツーリズモを丹波(青垣町)と但馬(朝来町)で開催いたしました。
人工林の間伐体験
製材品の説明
プレカット工場の見学

Hyogo フォレストツーリズモとは?
 建築関係者の方々に国産材の流通や加工、山林の現状など実際に目で見て体験してご理解してもい、また木材業界との情報交換のための現地研修会です。
 国産材をより利用して頂くためにも、供給側(木材業界)と消費側(建築業界)との思い隔たりを少しでも解決できればと考えております。