Vol.52 平成11年5月
発行:兵庫県立丹波年輪の里(林産指導課)




木材で発電

1.はじめに
 昔、日本でも薪炭に頼っていた時代がありましたが、今地球温暖化問題で再び燃料としての木材が注目されています。スウェーデンをはじめヨーロッパ各国ではすでに木材等のバイオマスエネルギーが利用されています。
 1980年頃のオイルショックのときに我が国でも林地残材や工場廃材等の未利用材の利用を目的として、木質燃料が研究されましたが、残念ながら石油価格の低下で一時中断されてしまいました。
2.燃料としての木材
 発熱量は木材の含水率で異なり、乾燥している方が発熱量は大きく乾材では4,500cal/gですが含水率50%の材では1,200cal/gに減少します。木材をガスタービンで燃焼させると約30%が電気に変換でき、発生する熱も効率的に使用すると80%まで変換率があがるそうです。
 木質燃料としてはすでにパルプ業界で実用化している黒液と呼ばれるパルプ廃液、木材、木材ペレット、木炭の他、木材のガス化なども検討されています。
3.発電コスト
 兵庫県では「森のゼロエミッション」基本構想(平成11年3月まとめ)の中で木質発電を18.2円/kwと試算しています。具体的には一宮町を例に間伐材(1,4600m3/年、1,5000円/m3)を利用した場合を試算したもので、その他様々な前提条件がありますからどこでも同じというわけではありません。  電力会社の生産コストは約9円/kwhくらいだそうですから約2倍のコストになります。この試算通りならば、現在の電気料金が23円/kwhくらいですから、その他諸経費を含めて利益がでなくても、自治体の電力の一部自給という意味では有望ではないでしょうか。
4.おわりに
 木質発電は輸送コスト等を考慮すると農山村が有利で、各地のゴミ焼却場を改造してゴミと一緒に燃焼させることも提案されています。  少し言い過ぎかもしれませんが、スギの需要として建築材だけでなく、形質不良な林分は燃料としての位置づけも考えてはどうでしょうか。燃料なら虫害、黒心、抜節、根曲がりなど関係ないでしょうから。近隣他府県に比べ決して質がよいとはいえない分やりやすいかもしれません。


木と熱 (木造住宅は暖かい?)

(参考)熱伝導率
鋼・・・・・・・46
コンクリート・・・1.4〜1.6
木材・・・・・0.1〜0.13
グラスウール・・0.045〜0.034
空気・・・・・0.02
材料の熱の通しやすさは熱伝導率によって決まります。熱伝導率が低いほど熱を通しにくく断熱性が高くなります。
 建物の断熱は壁体の材料の熱伝導率だけでなく壁体の厚さも関係します。同一材料なら厚いほうが断熱性が高くなります。木材は熱伝導率は低く断熱性に優れますが、実際の木造建築では壁体が薄いので断熱性は高いとはいえません。
熱容量(Kcal/m3℃)

コンクリート・・・・・・・・1.4
土壁・・・・・・・・・・0.59
れんが・・・・・・・・0.53
木材(スギ)・・・・・0.083
木材(ヒノキ)・・・・・0.088
グラスウール・・・・・・0.038
フォームポリスチレン・・0.032
※熱容量とは
1m3の物質を1℃上昇させるの
に必要な熱量

 一方コンクリート造は熱伝導率は低いものの、壁が厚く熱容量が大きいので一度暖まると冷めにくいといえます。
 木造は暖かいとPRしてきたましが、場合によってはコンクリート造の方が暖かい場合もあります。木造住宅の室温は暖めやすく冷めやすく、コンクリート造の室温は暖めにくいが冷めにくいのです。
 朝から晩まで暖房される建物はコンクリートでもよいのですが、学校では授業の終わった午後は暖房が止まりますから翌朝には冷えてしまいます。室温が暖まりにくいコンクリート造ですから子供たちが学習する午前中が寒いという不具合も生じます(内装を木材にすることでだいぶ緩和されるようですが)。
 また、夏期は昼間にコンクリートに蓄熱され夜は暑くなり、エアコン使用頻度が増えるでしょう。
 木造で冬期いかに暖かければ良いわけですが、そのためには気密化も必要ですが、基礎のコンクリートや根太の下にモルタルを施設するなどして熱を蓄熱する方法があります。すでにパッシブソーラーシステムとして実用化されています。木造の伝統工法にプラスアルファすることで快適が得られるようです。
 しかし、健康な人にとっては適度の寒さ暑さがあることで耐性がつくのだと思いますけれど。


トピックス 1
− 技術アドバイザー −
製材・加工分野
京都大学大学院農学研究教授
奥 村 正 悟

乾燥・接着分野
奈良教育大学教育学部教授
谷 口 義 昭

申込・問合せ先
兵庫県森林・林業技術センター 木材利用部まで
TEL0790(62)2118

技術アドバイザー事業
製品や製造工程などでの技術的問題で困っていませんか?
 専門知識を有する技術アドバイザーが個別に現地視察を行い的確なアドバイスをします。
☆料金は5,000円/日です。
 この事業は平成八年からスタートしたもので、今までの相談内容としては製品のクレーム解決方法が多いようです。しかし、元々この事業は中小企業の新たなビジネスチャンスの拡大を図ることを目的としていますので、製品開発の諸問題にも活用して下さい。

トピックス 2
今年も木木市開催しました。
去る5月22日、23日の両日に、丹波年輪の里で「木木市」を開催しました。おかげさまで昨年同様盛況の内に終了しました。
 今年の出展については十五社の製材工場等から板類、切株など約二千点の出展がありました。今年の傾向としては切株よりは板類がよく売れていました。
 来館者は神戸や大阪から来られた方も多く、また、木工クラフトに心得のある方から全くの一般の方まで幅が広く、ニーズも様々でした。しかし、感じたのは、必ずしも銘木的な材よりも一般材でもサイズがニーズにあったほうが好まれたようです。


木造建築物探訪

今田町商工会館

デカンショ街道沿い、今田の町を見下ろす小高い丘の真新しい木造の建物が篠山市今田町商工会館である。建物は展示棟、事務棟、婦人部研修棟、研修棟の四棟からなり、中庭をコの字型に囲むように配置されている。
 国産のスギ材を基本に、壁や床にいたるまで自然素材を使用するとともに、構造、空調のほか、高齢者・身体障害者の利用しやすさなど木造建築における新しい提案が随所に取り入れられている。
 
木造平屋建
建築面積・・・414m2 総工費・・・・1億2860万円



ひょうごの木材市場巡り
丹波林産振興センター

丹波林産振興センターは平成6年に丹波材の供給基地として、丹波の原木市場を統合する形で設立されました。
所在地は氷上郡柏原町で、国道176号線から少し入ったところにあります。
丹波のスギ、ヒノキが主で、その他にマツ、ケヤキなども入荷しているようです。
年間取扱量は約2万m3です。


木の本

伐って燃やせば
「森は守れる」

著者 田中淳夫
発行 洋泉社
定価 1,600円+税

 題名は過激ですが、本当の意味での森と人の共生を考えた内容です。
 今まで環境のために良いとされてきたことの中には、実は森や人のためにならないことがあると指摘しています。
 自然破壊も過度はだめだが適度は必要で、人為を全面的に否定せず、例えば人工林や里山は適度に伐ったほうが良いと言っています。
 そして燃料としての木材についても述べられており、木材ガスの可能性を提案しています。 そして、このらからの森林の多い山村の未来は明るいと。


地球温暖化で森はどうなる?

西暦2100年には3〜4度気温が上昇し、その結果、森林帯が毎年4〜5km北上すると予想されています。
天然林もそれに伴い移動しますが、人工物や人工林により移動経路が絶たれるおそれがあります。さらに問題なのは温暖化の速度がかつてないほどの異常な速度であることです。
影響が大なのは寒冷地で、暖地の樹木が侵入していきます。特に高山帯の樹木は逃げ場がなく消滅する危険があります。樹木だけでなくそこの生態系の動物たちもまた消滅することを意味します。
暖地の樹木はどうかというと、現在より寒くなると枯れますが、暖かくなることで枯れるという実例はないそうです。2〜3度の気温上昇では枯れず、成長速度が増し、更新サイクルが早くなり、台風や病害虫の被害を受けやすくなると考えられています。
スギやヒノキの人工林はどうなるのでしょうか?