Vol.47 平成10年7月
発行:兵庫県立丹波年輪の里(林産指導課)


特集 木造と生活環境
はじめに
  今まで私たちが利用してきた便利な製品の中には、環境への影響が懸念されるものがあります。
 建築関係では鉄筋コンクリート造(RC造)や鉄骨造、ブレハブの建築が増加してきました。しかし、無機的建築物が人、特に子供達の精神面へ与える影響も無視できないのではないでしょうか。昨今の中高生の痛ましい事件発生の一因かもしれません。ここで、木の利用を考えなおしてみたいと思います。  

なぜ木造か?
 木造が特に優れている考えるより、むしろ、人工的に作り出し産物に問題があるというべきではないでしょうか。


(1)マウスの実験

コンクリートやアルミの箱 木材の箱
  • 親が子を補食するなどの異常哺育
  • 生殖器の異常
異常哺育は一例もなし
もう十数年前に実験結果で、ご存知の方も多いとは思いますが、次のようなショッキングな結果が報告されています。

資料「木質環境の科学」山田正編

 ☆これらの原因として考えられるのが温度湿度です。
 ☆コンクリートやアルミの箱では床が低温になります。

このことについては下記のとおり学校校舎の教育環境の研究例があります。


(2)教育環境における温湿度

●鉄筋コンクリート校舎と木造校舎との温度の比較結果です。
鉄筋コンクリート造(RC造)は頭熱足寒!

冬期の温度環境
木造校舎 短時間内に全体がほぼ均一
RC造 室温が均質になるのは子供達の活動時間の後半の数時間

(参考)子供達の1日の活動時間に占める10℃以下の温度となる時間割合
冬期の床付近について
木造校舎 7.9%
RC造校舎 13.8%
(注)「学校環境衛生の基準」に基づく望ましい温湿度
冬期10℃以上、夏期30℃以下、湿度30〜80%

資料「建築材料として木材が及ぼす学校・校舎内教育環境の形成効果に関する研究」橘田紘洋

●低温環境響が何をもたらすか?

低   温  環  境
  • 疲労
  • 眠気
  • だるさ
  • 注意集中の低下
  • 作業時失敗率の増加
  • 落 ち 着 き の 欠 如<
  • 情 緒 不 安 定
ス ト レ ス の 発 生

●湿度においては梅雨期の湿度について調べられています。

梅雨期の湿度
  • 木造校舎は平均5%程度RC造校舎より低い。
  • 木造は80%以上になる頻度も非常に低い。

●多湿な環境が何をもたらすか?

多湿な環境
カビやダニの増殖
アトピー性皮膚炎
小児ぜん息

☆なお、木材に含まれる精油成分にはダニの抑制効果があります。また、木のフローリングは掃除もしやすくダニの餌となる埃がたまりにくいのです。


(3)感覚特性

●視覚
規則正しい人工物質は精神的不安定を与えます。
 逆に、木の木目、木肌などは快感を与え、「疲れない」材料です。
●音響
「やかましく疲れるRC造校舎!」
 木造校舎からRC造校舎へ移ると「やかましく疲れる」と教師の指摘もあります。
 RC造校舎は吸音率が低く音がこもり、この不快音が原因です。


(4)シックハウスの問題

 最近合板などはホルマリン対策としてF1タイプが使用されています。これらは「低ホルマリン」で、ノンホルマリンではありません。一つの建物となったとき果たして低ホルマリンであるかは問題があります。
 先に述べた温湿度などの住環境のことも考慮して、内装だけでも無垢の壁材、フローリングを施工してもらいたいものです。
 実際、シックハウスの問題で合板やクロスが使えなくなり、これに変わる製品を探していると聞きます。ここで少しスギやヒノキの内装材を生産している県内の製材所を紹介します。建築関係者の方には一度使って頂きたいと思います。

兵庫県内 国産無垢内装材生産者
名 称 地区 連絡先
長田工芸(孔角パネル) 阪神 078-341-2494
神崎町森林組合 神崎 0790-32-0120
鞄ネ尾商店 但馬 0796-44-0126
正垣木材 但馬 0796-69-0220
竃リ栄 丹波 0795-87-5217
鰍ィぎもく 丹波 0795-74-1121
青垣町営木工センター 丹波 0795-87-5520
氷上町木材加工事業協同組合
(代表)共立製材所
丹波 0795-82-5912
0795-82-2017
潟Rーセー 丹波 0795-82-7331
多利製材所 丹波 0795-74-0208
※既製品を生産し在庫を持つメーカーもありますが、
受注生産をしている場合が多いの注意して下さい。


おわりに

 既存の木造施設では木の特性が無視された建物も少なくありません。せっかく木を使うならば木の持ち味を十分引き出して下さい。建築関係者の方には今後木造を設計施工されるときは、木をよく研究して設計して頂きたいと思います。


参考文献
佐藤孝二:山田正編:「木質環境の科学」海星社(1987)
橘田紘洋:建築材料としての木材が及ぼす学校・校舎内教育環境の形成効果に関する研究(1996)
大迫靖雄:木材は教育環境に適した材料、山村クラフトVol.11(1995)
古野 毅:高橋徹編「木材科学講座5 環境」海星社(1995)



トピックス 1

木木市の開催について

 丹波年輪の里では去る5月23日(土)、24日(日)に木材の展示即売会「木木市」を開催いたしました。
 市にはスギ、ヒノキ、マツ、ケヤキ、ホオノキ、クリ、カエデ、クスノキ、カキノキ、ネズミサシといった樹種の板類や株が1000点以上集まりました。開催当日には、約1500人が訪れ、大阪や京都など遠方からの来場者も多く見えられました。
 今回即売した材は製材所の端材が多く、販売ルートに乗りにくいものでした。普段入手しにくい材に購入者も満足したようでした。また、人気のある材の出品者もほくほく顔でした。
 人気のあった材は次のようなものでした。


耳付きの板類(広葉樹) スギの根株のテーブルセット

板類はなるべく加工せず、丸太から板に挽いただけでよく、あとは乾燥してあればベストです。  株については高さを揃えることが重要で、約40センチくらいがよいようです。  この「木木市」は、来場者からの要望も多く、毎年定期的に開催する予定です。製材工場の皆様には売れそうな材があれば次回のために準備下さるようお願いいたします。


トピックス 2

建築用耐震金物 DボルトK

 今までにない建築用金物「DボルトU」が三木市のホームアドバイザーヨネザワにより開発されました。
 DボルトUは木の中にナット部分を埋め込みそれをボルトで締めつけます。木の中心に金物を埋め込むために接合部分を正確に垂直に立てることができます。ボルトを締めれば締めるほど強度を増す仕組みになっています。

  • 柱の側面に金物が出てこない。
  • 軸組工法ならこの金具一種類で接合が可能。
  • 住宅金融公庫指定の金具の3倍の強度があるとのこと。
  • 「グッドデザインひょうご選定商品」の平成九年度の最優秀賞を受賞しました。

問い合わせ先

ホームアドバイザーヨネザワ
 住所 兵庫県三木市与呂木628
 п@0794-82-5713

丹波年輪の里 木の館にて展示中