Vol.45 平成10年3月
発行:兵庫県立丹波年輪の里(林産指導課)
〒669-3312氷上郡柏原町田路102-3
e-mail wood@hk.sun-ip.or.jp
WWW http://www.hk.sun-ip.or.jp/wood/

【 題 字 】鳳翔会主宰 塩 山 重 夫

特集 住宅展示場モデルハウス調査報告

丹波年輪の里では、木材需要の大半を占めている住宅について、消費者のニーズが現れやすい住宅メーカーのモデルハウスについて、構造・延べ床面積・化粧柱等二一ポイントについて調査を行いました。消費者のニーズや施工の実態を知り、今後の木材の需要拡大のための基礎資料とすることが目的です。

調査の概要については次ページに記載していますが、紙面の都合により、ここでは概報とさせて頂きます。


1.施工形態別の割合

施工形態を大手住宅メーカー系と地域ビルダー系に分類して構造別に取りまとめた結果はグラフ1のとおり。 合計では地域ビルダー系は20%程度にとどまったが、軸組木造住宅については45%の割合を示し最も多かった。


2.部屋数

一棟あたり6〜7室が平均で、和室は一室のみが64%をしめる。和室の畳数は八畳が多く、64%をしめる。 各構造とも展示場であるため、実際に建てられるものよりやや大きいと思われ、延べ床面積は166uから280uに集中した。(区分は住宅金融公庫の融資区分による)


3.化粧柱

使用本数は一棟あたり平均四.二本。構造別では木造軸組が最も多く一棟あたり平均で、六.八本使用されている。また、無節面数では一無・二無が全体の八五%を占めている。 また、化粧柱の種別では集成材が全体の八四%を占め、ムク材は一〇%にとどまった。そのうち軸組木造住宅では、ムク材の使用は二四%で最も高い使用率を示した。




4.セールスポイント

各モデルハウスに備え付けのカタログ等からセールスポイントを集計した結果、高耐震を掲げたものが最も多く、阪神・淡路大震災の影響を色濃く反映させる結果となった。以下グラフ五のとおり、健康や自然素材は少なく、耐久性や断熱性・遮音性を揚げるものが多かった。(重複カウントあり)


5.その他

外観並びに洋室の内装では、ともに各構法による差は僅少で、木質系の構造材やムクの内装材が表面に使用されることはほとんど無かった。 しかし、一部の地域ビルダー系の工務店においては、ムクの木材を効果的に活用しており、これらの動きは今後、二局化していくものと考えられる。


調査概要
1.調査対象
住宅展示場名 調査件数
ウッディタウン三田 15
阪急西宮北口第1会場 15
阪急西宮北口第2会場  8
神戸新聞加古川会場 15
神戸新聞姫路会場 14
垂水総合住宅公園  3
西神南総合住宅公園 10
復興住宅メッセ第2 12
毎日ハウジング川西  7
六甲総合住宅公園  6

2.構造別内訳
構造 件数
木造軸組 33
その他木質系  9
その他非木質系 39
2×4 24
105

3.調査期間

平成9年7月4日〜10月11日


木の本
建築に役立つ 木材・木質材料学
発行 風土社
定価 980円

この本は序文を引用すれば、「大学の建築学科の学生を含む建築関係者一般の方々を対象に、建築材料としての木材および木質材料の特性や、木質住宅について正しい認識を持っていただき、建築の設計・施工に反映していただくことを主眼として書かれている。」というもので、教科書的な本です。内容は左記のとおり四章に分けて書かれています。
第一章 木材および木質材料 第二章 木質住宅の構造耐力性能 第三章 木材の保存と木質住宅の耐久性 第四章 木質住宅の居住性


ひょうごの木材市場巡り

豊岡木材市場

豊岡木材市場は兵庫県でも最も北に位置する木材市場で、国道一七八号線沿いにあります。年間約2万立米の丸太を取り扱っています。この市場はアカマツとヒノキが主力で、丹後産を主体とする良質材が入荷します。 買い方は地元をはじめ明石、西脇、鳥取方面からも買いに来るそうです。その他には昔から但馬ではケヤキが有名で豊岡、竹野、香住などから結構入荷してくるそうです。
市日は 木曜日が市日で和田山支店と交互に開催しています。


トピックス 1
 木材市場はご存知の通り原木や製材品の市売りが主な業務です。しかし、最近おもしろい記事(3月5日付日刊木材新聞)を読みました。それは、徳島中央木材市場についてで、7〜8年前まで50%を占めていた市売部門が今では20%に落ち込み、逆に伸びたのが末端ユーザー向けのDIY事業だそうです。かつて2割程度だったものが今では4割にまで増えているそうです。そして、工務店や一般を対象に展示即売も四月から行うとのことです。 やはり末端のユーザーは国産の木を欲しているのです。しかし、今まで買うところがなかっただけなのではないでしょうか。とてもおもしろい現象だと感じました。今後、特に都市近郊の市場は真剣に考える必要があると思います。


トピックス 2
[林業講演会」について」
 登山家であり医学博士でもある今井通子さんを講師に迎え、加古川流域林業活性化センター主催の講演を聴く機会があったのでご紹介します。
 今井さんが林業に協力して思ったことが、「植林より伐採が楽しい」ということだそうです。これは、人間が本性である略奪欲求のためだろうとのことです。また、今ナイフが世間で問題となっているが、かつてはこの略奪の本性を発揮する場が身近にあったが、今それがないために簡単に人を刺したりするのではないかと。子供達には物を取らせることから始めるべきで、森でいえば木の実を採取することから始めたらいいのではと。
 それと、よく間伐や下刈りの作業を手伝うけれど、自分たちのことを決してボランティアとは呼ばないそうです。これは、年に数回行くだけで伐採など一番楽しい作業をさせて頂くのだから、むしろその代償を支払わねばならないくらいだと。実際、それに見合う代償を支払っているとのことです。今、都会では携帯電話などの通信費など無形のものにお金を投じているのだから、同じように山間部の人達はもっとプライドをもって自分たちの技術や知識をを売って下さいと。
 今後、伐期に達する人工林の伐採体験をレジャー化できるかも知れませんね。1本2000円くらではどうでしょうか。ちょっと危険ですけれど。新年あけましておめでとうございます。


コラム

高気密・高断熱の落とし穴
1.高気密・高断熱のは手段か目的か?  もともと高気密・高断熱住宅は省エネを目的とし、平成八年10月に住宅金融公庫の改正で有利な基準金利の適用を受けることができるようになりました。結果的にこぞって住宅メーカーは高気密・高断熱住宅を発売しはじめたわけです。しかし、高気密であることはホルムアルデヒドなどVOC(揮発性化学物質)によるシックハウス症候群の多発につながってしまいました。それで、合板などの低ホルムアルデヒド化、屋内の換気システムの設置などが必要となってしまいました。省エネによる低コスト化がそうでなくなってしまっています。つまり元々手段であった高気密・高断熱が今では目的にすり替わってしまっています。

2.本当に省エネか?
 最近新聞で高気密・高断熱による省エネ住宅が紹介されていました。二十四時間数台のエアコンを稼働させ、家全体を常に一定の温度・湿度に保つという極端なもので、本当に省エネなのか疑問に感じましたた。確かにエアコンを稼働し続けていても、コンプレッサーが稼働している時間はごく一部かもしれません。同程度の住宅に比べ電気代は一割程度とのことですが、集客施設でなければ屋内全てを常に温度・湿度を一定にしているところはないでしょう。高気密・高断熱でない住宅で通常の冷暖房の使用と比べても一割程度なのでしょうか。疑問があります。

3.高気密・高断熱環境の人体への影響
 「生物は楽な環境に順応しやすいもの。住環境を過保護にすると失う本能がある。」という意見や「高気密・高断熱化によって風邪をひきやすくなった。」というアンケート結果もあるようです。無菌状態で育つと害菌に侵されやすいことはO-157の事件でも論じられました。高気密・高断熱環境が人間の病気や環境への抵抗力に与える影響も無視できません。

4.おわりに
 都市部において、粉塵や悪臭などで窓を開放できず、エアコンを使用せざるをえないといった地域は別として、極端な高気密・高断熱というのはどうかと思います。省エネを真剣に考えるなら、まず、エネルギー消費の少なかった時代から、長い歴史や経験の中で培った知恵や工夫をもう一度見直すことが先ではないでしょうか。  また、窓を開けられない環境など根本的問題を解決せずしての小手先の省エネ策が仇となっているように感じます。
 何ごとも行きすぎれば、その反動が生じて適当なところに落ち着くでしょうからその過渡期にあるのでしょうか。