Vol.43 平成9年11月
発行:兵庫県立丹波年輪の里(林産指導課)
〒669-33氷上郡柏原町田路102-3
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【 題 字 】鳳翔会主宰 塩 山 重 夫

特集 「地球温暖化と木材」

はじめに


ご存知のとおり今年の十二月に地球温暖化防止京都会議(COP3) が開催されます。このCOP3を目前にひかえ、国内外でCO2排出 量の削減目標をどのように設定するかで議論されています。目標値が どのように決まろうともCO2排出量を少しでも削減しなければなら ないことは事実です。削減する方法はいくつかあるでしょう。しかし、 積極的に大気中のCO2を固定できる森林の効果について考える必要 があります。


1.地球温暖化とは何か?

平均気温が上昇すると

・海水面の上昇(2100年には50cm上昇)
・豪雨や干ばつなどの異常気象が増加
・生態系への影響や砂漠化の進行
・マラリアやコレラなどの熱帯性の感染症の流行

 石油などの化石燃料の燃焼により発生する二酸化炭素やメタンといった温暖化ガスの大気中の濃度の上昇が原因で、太陽により温められた地表の熱が大気外へ放出されず、いわゆる「温室効果」により地表面の温度が上昇する現象です。このままだと、21世紀末までに地球全体の平均気温が2度上昇するといわれています。


2.現在のCO2排出量

 1992年のデータでは、世界全体で61億トン、我が国では三億トンで世界の5%を排出しています。  林業や木材に関わっている我々にとって注目に値するのは、我が国のCO2排出量の約10%が建築活動により排出されていることです。


大気中のCO2濃度
280ppm  →  360ppm
産業革命以前     1992年


3.森林のCO2固定能力

 大気中のCO2を回収するには植物の光合成に頼らざるをえません。特に森林のCO2固定量は大きなもです。日本の森林は年間5,400万トンのCO2を固定しています。  森林の中でも天然林より人工林の方が、また、高齢林より若齢林の方がより多くのCO2を固定します。  また、伐採した木も木材として利用し、燃えたり、腐ったりしない限り炭素をストックし続けます。
【参考】直径35p、樹高20mのスギ一本(約1P)で250sの炭素を固定している。

森林のCO2固定能
人工林>天然林 若齢林>高齢林(20年生頃が最大)
☆人工林を50年程度で伐採し、再び植林するサイクルが最も効率的にCO2を固定することができます。


4.建築活動と地球温暖化防止

 現在、建造物の建築には木造をはじめ鉄骨造、鉄筋コンクリート造など様々な工法が用いられています。しかし、地球温暖化防止に貢献できるのは木造ではないでしょうか。
 木造住宅の場合、柱や梁などの木材の形での炭素を50s/u固定します。一棟の家(136u、約40坪)なら6.8トンの炭素を固定することになります。

各種材料製造時における炭素排出量(1P当たり)
材料 人工乾燥
製材品
比重:0.5
合板

比重:0.55
鋼材 アルミニウム コンクリート
製造時炭素放出量 28 120 5,320 22,000 120
製品中の炭素貯蔵量 250 248 0 0 0
収支 -235 -222 5,300 22,000 120

 これに対し、鉄骨造や鉄筋コンクリート造などでは、材料製造過程で多量のCO2を排出しますが、炭素の固定には寄与しません。木造の場合も材料製造時にCO2を排出しないわけではありませんが、木造の場合は鉄筋コンクリート造の約四分の一です(左図参照)。そして材料の輸送や加工、現場での工事など建設時にもCO2 は排出されます。しかし、建設時においても木造は鉄骨造の約半分、鉄筋コンクリート造の約三分の二しかCO2を放出しません(下図)。
 また、その使命を終えて解体する場合においても、コンクリートは産業廃棄物に、鉄はリサイクルの過程で再びCO2を排出します。しかし、木材の場合は廃材を角材→板材→チップ→繊維へとリサイクルも可能ですし、 もし、燃焼させるとしても、発電や暖房に使用することができます。すでに、北欧諸国ではバイオマスエネルギーとして木材チップが使用されているようです。
 このように、木材をより多く使用することはCO2発生を抑制し、地球温暖化の防止につながります。そして、なによりも木材は天然の材料であり、廃棄が容易で、廃棄時に燃焼させればクリーンなエネルギー源にもなります。より一層木材の利用を促進する必要があります。




木・person
但馬流域活性化協議会 但馬材利用開発研究会会長
株式会社谷垣 株式会社谷垣工業 代表取締役会長
  谷 垣 欽 示
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林業、林材業を活性化しなければ、但馬地域経済の繁栄はないとおっしゃる谷垣会長。製材工場の合理化には取り組みが早かった但馬の業界も、今では木造住宅の建築でさえ外材や建材に押しまくられている。
 住宅が変わっているのに業界が変わっていかなければ。そのためには但馬のスギを住宅構造の変化に対応したものにしていかねばならない。
 但馬材利用開発研究会の会長として、まねではなく自ら新しいものを手がけていかなければ。
 森林組合、製材業、設計事務所、工務店、行政が一緒になった取り組みの中から何か造りだしていきたいと熱っぽく語る。


木の本
地球温暖化対策への新提言
森とCO2の経済学
著者 三 橋 規 宏
発行 PHP研究所
定価 1,500円+税
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地球表面の平均気温である摂氏一五度の世界で、自然の生態系は維持され循環している。二一世紀の地球環境問題の核心は、この摂氏一五度の世界をいかに守るかにかかっている。今、その方法として化石燃料の消費を抑えることが中心となっているが、CO2の吸収源である森林の活用が必要である。その一つは常識に反して木材を徹底的に贅沢に使うことである。良質で長持ちする木造住宅を建てればよいのである。百年もつ家を建てればその期間は炭素を固定できる。その間に森はCO2を吸収し続けている。


トピックス 自然塗料について

最近、住宅における揮発性有機化合物により頭痛や目の痛みなどが生じる「シックハウス」の問題がクローズアップされています。特に注目されたのは塩化ビニール製の壁紙や合板の接着剤でした。その影響のためか、「木材に塗る塗料についても健康に害のない塗料はありませんか。」という問い合わせがくるようになりました。
 そこで、今回、「自然」・「健康」を銘打った塗料をいくつかご紹介いたします。ここで紹介する塗料に共通することは次のとおりです。
・亜麻仁油、カルナバ蝋、蜜蝋など の植物性油脂が原材料。
・浸透製の塗料で、ウレタンのよう に塗膜を作らない。
・環境意識の高いドイツの製品である。

  
AURO OSMO LIVOS
AURO社総代理店
ECO LIVING CORPORATION
川西市湯山台2丁目33-3
TEL 0727-93-2339
輸入元日本オスモ株式会社
西宮市山口町阪神流通センター1-54
TEL 078-903-5660
株式会社中嶋塗料商会
大阪市西区九条南3丁目30番6号
TEL 06-581-4161

☆詳しくは各社へお問い合わせ下さい。
 前号のトピックスで紹介しました宮本良平氏は、これらの塗料の原料となっている植物油(亜麻仁油、桐油、荏油、蜜蝋、木蝋、白蝋、カルナバ蝋、柿渋など)を取り扱われています。

問い合わせ先
宮本良平氏のホームページ
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