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Vol.40平成9年5月
発行:兵庫県立丹波年輪の里(林産指導課)
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| 【 題 字 】鳳翔会主宰 塩山重夫 |
特集 木材乾燥
乾燥コスト(その1)
−年輪の里 木材研修会から−
丹波年輪の里では、さる3月13日、森林総合研究所加工技術科長久田卓興氏を講師にお招きし、木材研修会「木材乾燥をとりまく現状と乾燥コスト」を実施しました。特集では、その内容を今回と次号の2回に分けて報告します。
最近、乾燥というのが話題になってきました。なかでも一番の問題はスギの乾燥です。スギという材は本当に乾燥が難しく、なかなか乾燥材が普及しないことから、だんだん建築メーカーの方が集成材に移行していく傾向があります。そのへんを何とかしなければ、国内の林業も成り立たなくなってしまいます。
今回は、スギの乾燥の現状と、今後どういうふうにしていけば、低コスト化を進めて乾燥の普及にもって いけるかという可能性みたいなものを、いくつか紹介したいと思います。
はじめに
国産材の乾燥比率は約15%
林野庁の統計資料によると、製材工場は全国で約15、000工場あり、うち乾燥機を設置している工場
が1、440で約10%です。大きな工場は設置している率が多くなっています。 乾燥材の生産は年々増加してきていますが、平成6年度で全体の6%という数字がでています。これは全国の製材工場の製材量ですので、もちろん外材を挽いている工場もありますし、国産の木材を挽いている工場もあるわけですが、それを合わせて6%という数字です。
アメリカと日本では用材の形が違いまして、乾燥材はツーバイフォーのようなサイズが多く、日本で使う柱材のような寸法になると、輸入材といえども乾燥率が高いわけではありません。
我が国で住宅等に使われる製材品3、700万Pのうち7割が国内産です。そのうちの日本で製材されるものの6割が輸入材。4割が国産材ということですので、国産材だけみますと、1000万Pくらいになります。
では、このうちのどのくらいが乾燥されているかというと、輸入材を柱に挽いているところの乾燥材比率は非常に低い。輸入材が全て乾燥されているということではなくて、向こうで製材されて乾いて入ってくるツーバイフォーのようなものは乾いておりますけれども軸組工法に使う柱材については輸入材はそんなに乾かされていません。
そのへんで推定しますと、国産材に対する乾燥材比率は約15%ではないかと計算しています。乾燥室の部屋の数とかから逆算しています。
進む集成材化
今、スギということに注目しますと、現在のスギの製品の流れというのは、製材工場から市場へ行くものと、プレカット工場等のユーザーにいくもの、それから大手の住宅メーカーに納材されるものに分かれます。製材工場から市場を介していく過程ではほとんどが生材です。ヒノキは一部乾燥されていますが、スギに関してはほとんど生材が市場に行きます。市場から材料を得ようとしているところでは、なかなか乾燥材は手に入らないというのが実態だと思います。
そして今、乾燥、乾燥といって乾燥材を必要としているところはどうしているかというと、集成材を使っています。プレカット工場に話を聞いてみると、「乾燥材を使わないとこれからは難しいので乾燥材を使うけれども、国産の乾燥材が入ってきません。それで集成材を使います。」という方向です。こういう例がものすごく増えてきています。大手の住宅メーカーについては、乾燥材の必要比率が多いわけですが、ちょっと数字を出すのが怖いくらい集成材化が進んでいます。
要するに乾燥材が必要になってきた、世の中も騒いで乾燥材といわれるときに、結局どうしても乾燥材が必要な住宅メーカーは国産材を使わないで、集成材にどんどんシフトしています。この動きは非常な勢いで進んでいます。
ですから、生で使えるとこだけが国産材を使っているだけで、ほとんどの大手のプレカット工場は乾燥化を進めて、しかもそれは集成材の方向に移っていると見た方がいいわけです。
需要増で生材が売れる?
現在はまた、昨年の秋ぐらいから需要が増えて生材でも売れるんです。ですから、国内の工場で乾燥生産を進めていたところでも、「生で売れるんだからそんな金をかけなくてもいいや」ということでどんどん生材が流れています。
しかしプレカットでは、やはりいったん乾燥材を使うと、工程管理、クレームの問題などで生材を使う方が建築コストがかかってしまいます。高い材であっても、集成材なりきちっとしたものを使うという方向が打ち出されてしまうので、いずれ集成材の方にいってしまいます。いったんその需要が移ってしまうと、これはその後いくら国産材を乾かして使って下さいといっても、その需要は戻ってこないだろうと。
そういうことから、国産材の軸組工法に使う部材を、日本の木が使える形というものを確保する必要があります。これが今一番我々がやらなければいけないこだと思います。
乾燥材は1軒当たり12P
今の方向で集成化が進んでいくと、これらは全部輸入材ですから集成材をつくる工場だけは残りますが、
製材は必要なくなってしまいます。どんどん産業の空洞化が進んでいますが、そういう方向にいってしまう。そういう意味では、集成材と同じレベルの乾燥材がつくれて、同じように建築部材と評価してもらうような形をつくっていく必要があると思います。
殖産住宅から頂いた住宅部材の資料によると、乾燥材を57%、生材を43%使っています。全ての材を乾燥する必要はなく、特に二階の小屋組のあたりは多少縮んでも大丈夫です。一階の床なり柱なり、要するに下の方が動くと、建物全体の歪みがでてくるので、下の方には乾燥材を使っているようです。そうすると、乾燥材を使うのは間柱、窓、根太、樽木、こういうところです。そして、柱と通し柱は集成材を使います。胴差し、床張りこういうところも乾燥材を使います。小屋組の方は乾燥材でなくてもよいのです。そうすると、今乾燥材と集成材を合わせて12Pぐらいを使うことになりす。
なぜ乾燥材が売れないのか?
今乾燥コストがP当たり1万円とか言われていますが、実際に1万円では乾燥材生産はできません。仮に2万円としても24万円の話なんです。これがなかなかコストをみるかたちで評価されていません。柱を乾かすよりも集成材の方が高いはずですけど、高い柱を使います。乾燥材は国産のスギでしたら、6万円ぐらいのもの。プラス乾燥賃が1万円アップぐらいでしか取り引きされていないんですが、実際には2万円ぐらいかかります。2万円たしても集成材よりは安いはずなんです。ところがそれなのに、建築業界は集成材を使うのです。これは結局、乾燥材と言われてても評価されていないのです。値段もそういうふうになっていません。このへんが、買ってくれないからいけないとか、つくってくれないからいけないとか、両方で押しつけ合っているわけですが、このままでは解決にならないと思います。
(次号へつづく)
木・person
農林水産省森林総合研究所
木材化工部加工技術科長
久田 卓興 先生
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愛知県(知多半島)出身。昭和四一年に名古屋大学林学科をご卒業後、二年半東洋プライウッドに在籍された後、国立林業試験場(当時)に入所されました。以来、乾燥部門一筋に研究を続けられ、現在は木材乾燥の第一人者としてご活躍されています。
「最近は乾燥が話題になり、研究に携わる者として有り難いと思いますが、その反面、なかなか乾燥がうまくいかなくて、皆さんが困っておられることには大変責任を感じます。」と話しておられました。
伝統の軸組工法の部材に日本の木が使われることを願って研究を続けられています。
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木の本
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森をゆく旅
木と人と技
著者 宇江敏勝
発行 新宿書房
定価 2,100円
日本人のくらしと森とは、さまざまなかたちで深くかかわっていた。 しかし、今私たちの生活を顧みるとき、森や木とのつながりがどんどん薄れています。
筆者は熊野の山中で林業に従事しながら、北海道から沖縄まで全国各地で伝統的な森の生活様式や林業、工芸、祭礼を守っている人たちを訪ね、たんたんとしたくらしぶりが紹介されている。そのなかには筆者の奥さんの故郷である丹波を訪れ、丹波の里山が日常生活に密着したものであったことにも触れている。
暮らしぶりを考える上で、ぜひ一度よんでみられては。
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トピックス
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