Vol.39 平成9年3月
発行: 兵庫県立丹波年輪の里(林産指導課)
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【 題字 】鳳翔会主宰 塩山重夫

シェア伸ばすプレカットについて

プレカット材が軸組構法に登場してから10数年になる。プレカット化の当初の狙いは大工技能者の減少と技能水準の低下傾向への対応であったが、その後は部材の加工精度の向上とコスト削減、現場施工の省力化と工期の短縮、住宅の品質向上、施工現場における木材のロスの排除、木材流通の合理化などに大きな効果を見いだし、特に1990年代(平成2年以降)に入って急速に普及してきた。(「転換期のスギ材問題」より一部抜粋)

今回、プレカット産業について特集し、次頁では県下のプレカット工場4社を取材したので、現状を報告する。

県内シェア30%越える

現在、プレカット工場は全国に800近くあるといわれ、県内においても昭和63年頃から徐々に増加し、現在20数工場あるといわれている。
右図は、全国プレカット協会が基礎数値等を参考に推定したもので全国シェア30%強でプレカット化がすすんでいる。
昨年末、県木連がアンケートによる実態調査を行ったところ、H7年実績では約8,000戸と推定され、同年の軸組着工数26,647戸から単純に除すると、県下においても、プレカット率は3割に達している。
更に、ラインの増強や羽柄材への取組みなどが見られるなど、木造住宅の合理化は確実にすすんでおり、今後、プレカットの普及は一層すすむと考えられる。 なお、AQ認証工場は県下で5社となっている。

 

 
用語解説

プレカット材とは

プレカット材とは、木造建築に用いる製材品や集成材を予め機械により継手・仕口などを加工し、部材化した製品を指す。広義のプレカット材には、軸組構法、プレハブ構法、ツーバイフォー工法、丸太組構法の部材を含むが、一般にプレカット材と称する場合は、軸組構法の加工部材を指す。 プレカット工場の多くは構造材のみの加工で、垂直部材の主体はほぞ、溝加工、横架材は蟻、鎌、追掛けなどの継手加工のほか、蟻仕口、ほぞ穴、欠き取り、座金ぼり、ボルト孔あけなどが行われる。(木材活用事典より)

AQ認証制度とは

製材品や合板等の品質・性能を保証する制度には「JAS」規格があるが、プレカット加工や防腐処理等の多様化・高度化した製品等にも対応可能とするべく,1988年に(財)日本住宅・木材技術センタ―の事業としてAQ(Approved Quality)制度が設けられた。厳しい品質性能試験のもと、優良な製品には「AQマーク」表示が認められ、「JAS」とともに信頼の目印になる。平成8年3月末には、プレカット部材を含め、166件が認証されている。

家づくりは品質管理から

(株)三協プレカット(養父町上箇55-5)

  1. (開設)H5.10
  2. (メーカー)宮川工機
  3. (月産能力)30棟
  4. (賃加工)有
但馬地域のビルダー「三木建設」と2つの代表取締役を務める三木社長は、「木造やってるんだから、会社も木にこだわらないとね」と話す。プレカット工場を建設する際、現在の場所に、木の展示場ともいえる事務所を整備した。
今後、工務店として「プレカットぬきには仕事が出来ない時代がくる」、「資材の仕入れにも主導権をもって取り組まねば」という考えのもと、仕入れの受け皿機能にと、プレカット工場を整備した。 「いろいろと大工さんと話しをするが、まだまだプレカットに対する認識が低い。それにはプレカット業界全体のレベルアップが必要。そうなればプレカットシェアも倍増するのだが・・」この理由から、平成7年5月にAQ認定を受けた。 認定工場の自負が「よりよい商品を供給する」という社内の意識改革にもつながったという。
また、震災後の教訓から防腐、防蟻は不可欠と、プレカット後に、薬剤処理が施せるように、自社に加圧注入機を導入した。さらに、今年度はMKシステム21と称す高耐久合理化認定の申請をされ、「住性能の向上」に努めている。

大工不足解消と木造住宅の合理化を目指して

昭和住宅(株) 稲美工場(稲美町和田平見219)

  1. (開設)S59.3
  2. (メーカー)宮川工機
  3. (月産能力)15棟
  4. (賃加工)なし
加古川に本社のある昭和住宅(株)は、創業40年来、住宅・マンションの分譲など幅広く事業展開し、住宅では昨年230棟の実績をもつ地域大手ビルダー。
周囲からは「(導入するには)早いのでは」といわれたものの、職人不足の対策からと、昭和59年にプレカットに着手し、自社の合理化を進めてきた。
導入のメリットは、大工対策もさることながら、最終商品である住宅が、均一な品質によって規格化されたことにあるという。
現在、KES工法(合理化認定)と称する、独自の接合金物と140mm角の柱(LVL)を用いた工法なども採用している。
「(在来工法は)プレハブ住宅ほど工業化はできない。しかし、改善余地はまだまだあり、少しでも工業生産に近づけるハズ」と鬼一恭士部長。さらなる合理化を目指す。

地域業界の拠点に

ランべックス姫路(姫路市網干区浜田1590)

  1. (開設)H7.5
  2. (メーカー)テラシステム
  3. (月産能力)100棟
  4. (賃加工)有
「木造住宅業界にとって、時代の転換期であろう。既に本格的プレカット時代に突入した。今後は、3割ぐらいが大工の手加工で、残りがプレカットに逆転するのでは・・」と竹内弘理事長は話す。
全国に数社あるランベックス、その独自のテラシステムを導入し、震災後の平成7年5月に稼働してから約2年が経過した。姫路港木材団地に立地し、材を流れ易くするため、賃加工のみで対応している。一方、地域の大工・工務店へはCADによる設計支援を行い、周囲の関係者にも喜んで貰っている。
操業後、一応のメドが立った今後は、ソフト面の対策として、建て方、納材側、プレカットの3者間の体制を強化させ、OA等による情報システムの構築などにより、さらなる省力化かつ効率化が図れるかが課題とされる。

特殊加工で高付加価値を

(株)ニチリンプレカット(香寺町矢田部字大谷769-22)

  1. (開設)H7.5
  2. (メーカー)(株)ナカジマ
  3. (月産能力)30棟
  4. (賃加工)有
「都市部では、既にダンピングが始まっている。工場数だけでみると、過当競争に入っているのでは・・・」と細野社長はいう。
プレカット経営において、投資と減価償却から月間売上げ1千万円を維持しょうと単純計算した場合、
  35坪×30件/月×1万円/坪=1,050万円/月
となる。当然、件数が落ちると経営は苦しい。いかに付加価値を見いだすかという発想につながった。 「同じパイの中で勝負していたら、いずれ共倒れする。都市部より普及率の低い地域の大工が使ってくれるものを」と、メーカー(ナカジマ)に特殊加工ができるものを特注した。
通常に比べ、120mmの長柄、コミ栓打ち、追掛け大栓継ぎが 可能になった。
細野社長曰く、「うちに来たお客さんが『プレカットはいいねぇ』なんて言われると困る。逆に『どうかな』と言って貰うと『それじゃ、うちの見てよ』と話しがはじまる。」
(大工が)忙しいからプレカットに頼んでいた時代が、プレカットが忙しいから仕方なく刻む時代へと変わりそうだ。
  


木・person
きぃーぱぁーそん

「但馬木造住宅振興協議会」の設立に取り組んでいる

田中秀雄さん

和田山町で工務店を開設されて、半世紀近くなる、その道の大ベテランである。
平成5年に、工務店の経営は息子さんに譲られたものの、69歳になる今日迄、木造住宅に対するその情熱はいささかも劣えを見せない。今迄、県の建築大工技能士会を始め、各種団体の要職を数多くこなされてきたが、現在でも、県建築大工協会会長を始め、7つの肩書きを持つその筋の名士でもある。
県主催の講演会等で、氏の木造住宅に対する独自の理論を、情熱ほとばしる独特の語り方で話される姿を見られた方も多くあろうかと思います。現在は、但馬地域の建築業界が中心となり、木造住宅の振興を図ることを目的とした「但馬木造住宅振興協議会」の設立に情熱を傾けておられます。この協議会が設立され、その重点課題である「但馬型木造住宅の開発」及び「大工技能者の養成」が一刻も早く軌道に乗ることを祈っております。


田中秀雄さん


木の本

転換期のスギ材問題

 

住宅マーケットの変化に国産材はどう対応すべきか

戦後、営々として続けられてきた人工造林、その大半はスギである。それが近い将来、順次伐採期を迎えようとしている。ここ十年間続いた外材時代が終わり、スギを中心とした国産材時代の幕開けを控え、全国の山々で、今や遅しと出番を待っていたスギ。
しかし、突如として起こった阪神大震災により、その事情は一変した。在来の木造軸組住宅は地震に弱いという風評が広まり、大震災以降、耐震性や耐久性の面で一躍脚光を浴びるようになったエンジニアリング・ウッドの台頭により、スギの居場所が日に日に狭くなったからだ。このような現状を踏まえ、大震災以降、急速に変貌を遂げつつある住宅マーケットにスギはどう対応すべきなのか。
同憂の17人の執筆者が北は青森県から南は広島県迄、足と目で現地取材を行ったそのエキスがこの本には込められています。

発行:日本林業調査会  定価:3,000円

トピックス その1

県産木材製品開発研究会が受賞

第2回国産材供給システム優良事例コンクール

今回で2回目となる上記コンクールは、地域森林資源を有効に活用し、木材の安定的供給を促進するため、供給体制の整備に取組む事例を推奨しょうと(財)日本木材総合情報センターが開催した。審査には全国から19事例が推薦され、農林水産大臣賞には「大ロットとシステム販売による素材の安定供給」の取組みが評価され、(株)人吉素材流通センター(熊本県)が受賞された。
兵庫県からは、兵庫県産木材製品開発研究会がひょうご・ネットワーク「木の道」の取組みと震災後の木造住宅のPRが評価され、全国林業改良普及協会会長賞を受賞された。 尚、2月24日、東京にて表彰式が行われ、研究会会長足立栄逸氏が参加された。

 


トピックス その2

丹波に登場!

90m木製ジャンボつり橋

平成9年3月8日、待望のJR福知山線(新三田ー篠山口駅間)が複線化され、丹波と阪神間がまた一歩近くなりました。その福知山線沿に位置する川代渓谷(山南町)に長さ90mの木製つり橋が今春完成する。
高欄と床板に西アフリカ産の木材を使用したもので、90m級の木製つり橋は全国でも珍しいという。また、つり橋右岸部には桧皮葺のモニュメントが設置される。丹波の桧皮葺は有名で、全国に4か所しかない研修所(文化庁認可)が山南町にあり、その卒業生達が「地元のために」とボランティアで協力したという。
当地は丹波きっての桜の名所で、春になれば三百本以上の桜が咲き誇り、多くの花見客が訪れる。もう、春は近い。