Vol.38 平成9年2月
発行: 兵庫県立丹波年輪の里(林産指導課)
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【 題字 】鳳翔会主宰 塩山重夫

INDEX


特集

大工技能者の育成について

「<親方・弟子>の職人の世界に、<学校を作って徒弟制度から脱却しなければ>という声が聞こえるようになって久しい。」(「職人」 永六輔著より一部抜粋)

これは、大工をはじめとする職人の養成を述べたものであるが、今、われわれが「県産材を使って家を建てましょう」とPRしても、肝心の建築を担うべき大工がいなくなれば木材産業にも、活路は開かれない。 今回は、その対策である大工技能者の養成について特集し、県内の養成施設の紹介と地域のとりくみを、民間養成機関として徳島県にみる事例を紹介する。

<県内事例>

近代的なセンスと技術を兼ね備え、新たに
県立姫路高等技術専門学院
〒670 姫路市町坪108-3  (0792)98-0900

かって、県立豊岡高等技術専門学院で大工技能者の養成を行っていたが、昭和57年度に応募者の減少等の理由により廃止される。 しかし、近年、ニーズの多様化と技術革新により、建築技能者は多様に対応できる能力が求められていることから、平成9年度から新たに「住宅建築科」を設置する。 様々な住宅工法やCADによる設計などの技術習得により、豊かで快適な21世紀の街創りに夢をかける技術者の育成を目指す。

 主な内容は、

  1. 2年制、1学年20名定員。
  2. 受講資格は、中学卒業以上で30歳未満の男女。
  3. 受講料、授業料は無料。(諸経費12万円/年間必要)
  4. 講義・実習内容は「木造軸組(在来)工法」(1年生)、「非在来(プレハブ・枠組壁工法)」(2年生)。

<地域における取り組み>

但馬型住宅の開発と技術者養成にむけて

現在、但馬地域の建築業界が中心となり、木造住宅の振興を目的に「但馬木造住宅振興協議会」の設立準備を進めている。
これは平成7年度に「但馬流域林業活性化センター」が但馬地域における木材流通加工の実態調査を行い、その後、各業界において検討されたことが契機になっている。
協議会では重点課題を設け、既に先進地視察や数回の検討会を開催し、大工技能者の養成にも意欲をみせており、今後の活躍が期待される。

 木造住宅振興の重点課題

  1. 但馬型住宅の開発
      但馬材を使った但馬地域に適合した木造住宅
  2. 大工技能者の養成
      優秀な技術者を養成できる施設の整備
  3. 木造軸組住宅のPR

とくしま木匠塾 -民間企業などが主体で運営-

設立と概要

平成7年4月に職業能力開発促進法に基づく職業能力開発校として開講し、運営は徳島県木造住宅推進協議会が行っている。
「とくしま木匠塾」(以下、木匠塾)の最大の特徴は、企業が社員を派遣し、大工技能を習得させることにある。公立の職業訓練校等が中卒者等を対象に「学生」として訓練しているのに対し、木匠塾では「社員」という身分が確立されている。また、訓練生への配慮として、訓練期間中の給与を各社統一して設定している。このことは、業界が大工技能者の養成を、将来の財産と考えている姿勢の現れであろう。
カリキュラムには、2年間(3,000時間)の半分を派遣企業での現場実地訓練にしており、1年次に比べ2年次のその比率は高い。これは、訓練生から現場への移行を円滑にすること、訓練生と所属企業の社員達とのコミュニケーションを取りやすくすることをねらいとしている。

「木匠塾」開講までのあゆみ

徳島県では、木造住宅供給システムの実態把握及び良質な木造住宅の供給を図るため、昭和57年度から3年間にわたって建設省の事業である「木造住宅振興モデル事業」を実施した。事業では関係業界がメンバーとなった検討委員会及び実行委員会を設置し、木造住宅の振興策について検討を重ね、今後継続して木造住宅の振興にあたる推進母体の必要性を強く打ち出した。これを受け、昭和59年6月に、林業・林産業から住宅産業まで幅広い分野を含めた徳島県木造住宅推進協議会が設立された。
徳島県における大工技能者数は、昭和55年の8,473人をピークに減少を続け、平成2年には6,015人と10年で30パーセント近く減少していた。協議会は、平成2年度に大工後継者対策委員会を設置し、養成すべき大工の在り方と訓練内容、養成機関の運営について検討をおこなった。また、講師の人選・確保及び企業・団体への呼びかけなど設立に向けての準備を行い、4年後(平成6年度)、徳島市木材業会館内に事務局を開設し、翌年、平成7年4月「木匠塾」が開講し第1期生の受け入れをおこなった。

職業能力開発校 とくしま木匠塾

徳島市津田海岸町8−27 徳島市木材業会館内
  (0886)63-3109

○ 組織と運営

組織形態 塾長1名、副塾長2名、講師27名、事務局2名の計32名で構成

運  営 徳島県木造住宅推進協議会

運営経費 協議会、賛同企業、団体、及び生徒を派遣する企業からの出資金(最低40万円)、授業料、及び助成事業の補助金等で賄われる。(年間3,000万円程度必要)

施  設 鳴門地域職業訓練センター(雇用促進事業団設立)の一部を賃借(年間120万円)

講  師 協議会の会員等専門家を委嘱(1日あたり16,000円程度の謝礼) 定  員 1年次当たり20名(2年制)

授業料 1年次72,000円/月、2年次28,000円/月(訓練生の負担はなし)

【年表】

昭和57年

木造住宅振興モデル事業(3年間)
検討委員会及び実行委員会を設置

昭和59年

徳島県木造住宅推進協議会の設立
現在、県、29市町村、12団体の会員で構成。

活動課題

  1. モデル木造住宅の建設
  2. 大工技能者の養成
  3. 消費者サービスの実施
  4. 木材産業、住宅産業の技術向上及び近代化
  5. 木の良さ、木造住宅のPR
平成2年
協議会内に大工後継者対策委員会を設置

平成6年
とくしま木匠塾事務局設置

平成7年 とくしま木匠塾開講

                 
今後の課題も

開講から2年、本年3月に第1期生が巣立っていくことになる。 しかし、木匠塾にも、いろいろと課題はある。独自の校舎、訓練施設の充実、法人化、受講生の確保などである。そして、もう一つつけ加えると、出資金の負担がネックとなり本当に後継者を必要としている1人親方が木匠塾の活動に参加できないことがあげられる。 これらの課題が、より充実した後継者育成の策となるであろう。


木・person
きぃーぱぁーそん

東北工業大学客員研究員
山崎純子先生

(猪名川町在住)

「何十年使っても、飽きがくるどころか愛着さえ湧くところが木のいいところ」と話す山崎先生は、職業柄、出張や旅行することが多く、旅先での食器収集が趣味の一つとなっている。自宅の一室には、さまざまな食器が収蔵され、なかでも木製食器は300点以上あるという。研究のご専門は「食文化」だそうだが、人一倍好奇心が強く、いつの間にかこうなった(木に魅せられた)という。
 一昨年、工業デザイナー秋岡芳夫氏の紹介で、当苑で行う全国ウッドクラフト公募展審査員を務められてから、また、「くらしと木製品展−木のある食卓」においても、ご指導いただくなど、年輪の里のよきアドバイザーとしても活躍されている。

木の本

職人

滅びつつある『職人』をテーマに人生を考える。 「樹齢200年の木を使ったら、200年は使える仕事をしなきゃ。木に失礼ですから」「職業に貴賤はないと思うけど、生き方には貴賤がありますねエ」などさまざまな“職人”の言葉が並ぶ。軽い読み物ではあるが、しみじみとした真実味がこもる。 パソコンブームやインターネットブームに示されるように、今の世の中はバーチャルリアリティー(仮想現実)全盛の時代である。しかし、その便利さは “土をつかみ”“木を切る”という体の“手ごたえ”と引き換えにしたものだ。そんなとき、職人の生き方が輝いてみえないはずがない。

著者:永  六輔
発行:岩波新書   定価:650円


トピックス その1

被災地で木造住宅をPR

低コスト住宅資材供給体制整備事業で展示場を整備

このたび、「木造住宅で復興を」と、兵庫県では国庫補助事業により木造住宅の展示場2棟を整備する予定です。(うち1棟は既にオープン)
海外と比較して高いと言われる国内の住宅資材。資材の標準化や事業者間の協定などによって、効率化、合理化し、良質の資材で低コスト住宅を供給することをねらいとした事業です。
この2棟は、いずれも被災地で建設することから、「災害に強く、安全で安心な木造住宅」を多くの人々にアピールしてもらえることを期待しています。 なお、展示場についてのお問合せは下記のとおりです。



  ○ 須磨展示場 丹波木材協同組合 

          0795−87−5216

   ○ 垂水展示場 兵庫県木造住宅建築業事業協同組合

          078−754−1350


トピックス その2

オール スギ の管理棟!

(協)丹波林産振興センターが竣工

平成9年1月23日(協)丹波林産振興センターにおいて「安全祈願祭並びに竣工式」が取りおこなわれました。 同センターは平成6年度に県森林組合連合会と氷上郡木材市場鰍ェ地域の関係者らに呼びかけて設立したもので、平成8年1月から業務を開始していました。 このたび竣工した管理棟は、すべて地元丹波産のスギ材が使用され、また、素材生産から製材・加工にいたるまですべて組合員の協力によるもので、丹波材をPRするモデル施設を兼ねています。 今後は、加工施設の整備にも取り組む予定。

 建築面積: 490u
木材使用量: 127u(うち構造材:84u)


木材研修会





○ 頑丈で長持ちする木造住宅づくり

   

 日 時:平成9年2月13日(木)13時00分から

  場 所:中央労働センター  

  申込み:兵庫県木材業協同組合連合会





  「JAS規格の改正について」

    講師: 兵庫県農林水産部林務課 井脇  健

  「健康を考えた住まいづくり」

    講師: シックハウスを考える会

       代表(歯科医師) 上原裕之





  「木造住宅耐震構造の基礎知識」

    講師: 建築家  藤田宜紀

  



○「木材乾燥をとりまく現状と乾燥コスト」

       

    講 師:森林総合研究所 木材利用部

         加工技術科長 久 田 卓 興  



    日 時: 平成9年3月13日(木)13時30分から

    場 所: 兵庫県立丹波年輪の里 「木の館」研修室

    申込み: 兵庫県立丹波年輪の里  林産指導課


イベント報告
くらしと木製品展−木のある食卓−

生活のなかに木をより身近に感じてもらおうと昨年12月に開催しました。(県立丹波の森公苑共催) 食器の展示の他、講演会、試食会と3部構成で木の良さをPR。なかでも試食会は異様な盛り上がりをみせ、試食後の即売も盛況でし。 今年も予定していますので乞うご期待を。


編集後記

全国各地で、独自の方法により大工技能者の養成が図られています。兵庫県においても図られようとしています。 阪神大震災により、木造住宅に対する世間一般の見る目は厳しくなりました。より良い材料を使い、より良い技術で、より強い木造住宅を、そのためにはより良い大工技能者を養成しなければなりません。木造住宅復権のためには重要なことです。 関係機関が一体となってこれに取り組み、進めていくことを願っています。 (藤本)