平成8年11月 vol.37
発行: 兵庫県立丹波年輪の里(林産指導課)
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【 題字 】鳳翔会主宰 塩山重夫

INDEX


特集

林野三法

「木材の安定供給確保特措法」について

  第133回通常国会に提出されていました、林野三法案は、平成8年4月26日に国会を通過し、成立しました。(いずれも平成8年5月24日公布) この三法の名称と概要は次のとおりです。

林業改善資金助成法及び林業等振興資金融通暫定措置法の一部を改正する法律
経営基盤強化による林業経営の安定化を図る(平成8年7月22日施行)

林業労働力の確保の促進に関する法律
新たに林業に就業しょうとする者の就業を支援し林業労働力の確保を図る(平成8年5月24日施行)

木材の安定供給の確保に関する特別措置法
木材の安定供給及び木材産業の体質改善を図る(平成8年11月1日施行)

今回は、木材業界に最も関係あると考えられる「木材の安定供給の確保に関する特別措置法」(以下法とす)を特集します。

Back Ground
背 景

近年、製品輸入の増大と製品価格の低迷が、木材産業において極めて厳しい状況にあることはいうまでもありません。低コスト製材と品質管理の向上が、国産製材の急務たる課題と考えられています。しかし、その担い手である製材工場も小規模で零細なものが多く、本県においても1工場あたりの平均は、製材用動力数85.6kw、従業員数8人弱、素材取扱量は年1,000立法メートル程度となっています。
一方で、今後、伐期を迎えるスギ・ヒノキの人工林(右図参照)が、価格・量ともに安定して供給されなければ、コスト低減のために設備投資をし、製材工場を整備したとしても本来の効果が期待できる筈がありません。
 こうしたことから、木材の安定供給と、木材産業の規模拡大、施設の近代化等の体質改善を実施することにより、林業・木材産業の振興を図ろうというものです。

兵庫県の令級別人工林面積
(平成6年度兵庫県林業統計書)
令級:5年を1つの単位としたもの

Summary
法律の概要

◎「流域単位」で地域指定されます

県知事は、森林資源の状況からみて林業的利用の合理化を図るべき相当規模の森林があること等の要件に該当する地域(流域単位を基本)を指定することができるものとなっています。 兵庫県では、加古川・揖保川・円山川の3流域にわけて地域指定される予定です。

◎ 支援法人が指定されます

 ・認定事業計画に基づく木材の買受けに係る債務等の保証

 ・木材に関する情報の提供及び木材の需要開拓

これら業務の適正かつ確実に行うことが認められるもの を、支援法人として指定することができるものとなっています。(全国に1つ、農林水産大臣が指定) なお、この支援法人には「(財)日本木材総合情報センター」が候補に上がっています。

◎ 事業計画の作成

 ・木材の安定的な取引関係の確立を図るための事業計画の作成

指定地域内の木材製造業者等及び森林所有者等は、共同して事業計画を作成し、県知事の認定を受けることができるものとなっています。

 ・計画作成には事業の促進措置が含まれます

立木の伐採の効率化その他の木材の安定供給確保事業を促進するための措置に関する計画を含めることができるものとなっています。

◎ 計画が認定されると森林法等の特例があります

・認定に係る事業計画(以下「計画」)に従って行う行為の特例

 1.計画に従って行う立木の伐採については、森林法に基づく事前の伐採届出は要しません。
 2.計画に従って行う木材生産流通改善施設を設備するための林地開発行為及び保安林の区域内における立木の伐採については、それぞれ森林法に基づく許可があったものとみなされます。
(いずれも認定事業の認定審査時に十分な審査がなされています。)
 この他、森林組合法に基づく森林組合の員外利用の制限の特例措置などがあります。

施工後のとりくみ

国においては、この法律の目的を達成させるため、次のような取組みに対し、支援を計画しています。

○原木安定供給の確保
○木材生産の効率化のための大規模化、システム化
○定品質な木材の定時、定量供給のための流通合理化
○消費者ニーズに応えた製品、資材の開発、供給等の促進等

Conclusion
まとめと提言

この法は木材の安定供給確保を図り、その他の施策によって川下にあたる木材産業を支援してゆくことをねらったものです。しかしながら、その枠組みが出来ただけで、林野庁・県レベルでも具体的な施策については、今後の課題とされています。
実施段階においても、現場サイドが直面する問題は多く予想され、法制定により効果が発揮されるにはもう少し時間がかかるようです。
しかし、この法の制定により言えることは、林野行政が川下である木材産業に目を向けたことです。そして、この法の地域単位が「流域」であることから、木材業界の間にも、今迄以上に「流域」という単位での考え方が重要になることです。
最近になって林野庁が推める流域管理システムがようやく定着しはじめてきたと言われています。今後、木材業者として、素材業、森林組合などの木材供給者との連携の必要性は一層増すと考えます。


木・person
きぃーぱぁーそん

今こそ
林業家が立ち上がる時です

シックハウスを考える会
代表(歯科医師)上原裕之さん

今号の木・personのコーナーでは、自らの体験をもとに2年前に「シックハウスを考える会」を設立し、幅広い活動を行っておられる上原さんからの投稿を紹介します。

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皆さんはシックハウスという言葉を聞いたことがおありでしょうか?シックハウスとは病気になる家という意味です。そんな家があるのかといいますと実は今建てられている家や集合住宅の殆どがシックハウスです。そして、その被害を受ける居住者を救うのは今この文章を読んでいる貴方方です。
正確にいいますと、海外合板に大量に含まれる化学物質が、居住者に目が沁みる、湿疹が出る、アトピーが酷くなる、気分が悪くなる、イライラするといった大きな原因になっているのです。それ故、国産の安全性の高い木を利用することが居住者の健康を守るだけではなく、日本の大気、水資源を守るという事を皆さんが一致団結して訴えて行けば必ず林業の再生に繋がります。
今年5月にシックハウスに関する国会質問も行われ国民の健康に関する関心も高まっています。今声を挙げなければ此の次のチャンスがあるとは限りません。
私たちは皆さんを全面的に支援します。

木の本

住まいの複合汚染−アトピー、アレルギーから発ガンまで−

室内汚染の実態に迫る。 被害者みずから原因究明。

本書はセラピスト(心理療法家)である著者が室内化学物質汚染に苦しめられた2年間の体験を克明に書き綴ったもの。 今、話題の室内汚染について、詳しい資料やデータも揃っており、この現代病の恐ろしさをあらためて知る。本書の結びでは、室内汚染の対策として自然素材、とりわけ木材は良いと推奨されている。健康な住まいづくりをめざす方にとってはおすすめの書。
著者:能登春男・あきこ
発行所:(株)三一書房 定価:1,800円


トピックス その1

木材の市況や情報がFAX配信で!

木材ニュースレターの刊行

このほど、(財)日本木材情報総合センターでは、「判断材料となる情報を的確に速く」と「木材ニュースレター」をFAX配信で月2回(緊急時には随時)の刊行を始められました。 内容は、情報センターシアトル事務所のほか、各国内外にモニターを配置し、それら報告をもとに作成されています。 今、激動期といわれる木材業界では、丸太輸入の急減と低質化をはじめ、住宅需要の変化、プレカットによる流通の変化など新しい問題が山ほどあり、日本の木材業界でもグローバルな情報を迅速に入手し、対応してゆかねばなりません。 是非、取り寄せられてはいかがでしょうか。 申込み:会社名、担当名、住所、TEL・FAX及び 「木材ニュースレター」と希望の旨を明記の上、 FAX 03-3816-5062 まで


トピックス その2

ゼロ・ミッション資源

〜木炭の有効利用〜

ゼロ・ミッションとは環境に与える負荷を0に近づけることの意だそうです。樹木や木材は地球温暖化の原因となる大気中の炭酸ガスを吸収、固定化することで環境にやさしいと言われています。 しかし、木材は燃やせば、炭酸ガスを放出し、埋めてもメタンガスが発生します。 そこで木質系廃棄物を木炭化することで、ゴミを減らし、炭酸ガスを放出しないだけでなく、調質、土壌改良、水質浄化などに用途があります。 この木炭を床下調質資材などへ利用しようと、このたび木炭の特性や効果などをまとめたリーフレットが作成されました。リーフレットをお求めの方は下記へお問合せください。 発行:(財)日本住宅・木材技術センター 03−3581−5582 定価:1部200円(税込) 規格:A3、3つ折、表裏ともカラー



イベント情報
くらしと木製品展
 「木のある食卓」
  木の器を使った 楽しい食卓づくりを提案し 木の良さにふれていただきます

○ 講演会「心豊かな食卓づくり」
 講 師:山崎純子(東北工業大学客員研究員)
 日 時:12月8日(日) 13時30分から
 場 所:丹波年輪の里 研修室
 定 員:先着50名

○ 試食会「木の器を体験しよう」
 日 時:12月14日(土)10時から(3時間程度)
 場 所:丹波の森公苑 創作工房
 定 員:28名(小人5歳以上)
 参加費:大人1,200円 小人 600円

○ 展示「木のある食卓」
 丹波年輪の里会場 12月3日(火)〜12日(木)
 丹波の森公苑会場 12月14日(土)〜15日(日)
 主 催 兵庫県立丹波年輪の里
 共 催 兵庫県立丹波の森公苑
 問い合わせ先 兵庫県立丹波年輪の里 林産指導課


木材研修会


木材研修会

○ 木質資材適正利用技術研修

「健康を考えた住まいづくり」
 講師:シックハウスを考える会
 代表(歯科医師)上原裕之

「木造住宅耐震構造の基礎知識」
 講師:建築家 藤田宜紀
 日時:平成9年2月13日(木)13時00分から
 場所:中央労働センター *工務店等対象

○「木材乾燥をとりまく現状と乾燥コスト」
 講師:森林総合研究所 木材利用部 加工技術科長
 日時:平成9年3月13日(木)13時30分から
 場所:丹波年輪の里 研修室


編集後記

今回は、この度成立した林野三法を特集しました。  林野三法が提出された背景には、低迷し続ける林業を何とか活性化させようという期待が込められています。川上から川下までの各段階において、法的措置を一体的に講じることにより、林業・木材産業の活性化を図ろうというものです。  これらの法律の施行により、兵庫県の林業・木材産業もまた、活性化されることを祈っております。(藤本)