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間伐材有効利用への取組 木製治山ダム

木製治山ダム

今回は、京都府で施工された木製治山ダムについて紹介します。

また、治山施設の設計者に話しを聞くことができたのでこれも併せて紹介すると共に今後の利用拡大の取組について考えてみたいと思います。木製治山ダム 京都府では、平成11年度に京北町・舞鶴市・丹後町の三地域において木製治山施設を試験的に実施されています。

ここでは、木材使用量の一番多い丹後町の事例について紹介します。


1. 名称 間伐材利用木製床固工
2. 使用目的 治山施設(床固工)(木製)
3. 間伐材の樹種・規格について
部材としてスギの皮むき材を使用、直径は18㎝から22㎝までとし、製品として高さ17㎝の太鼓挽き、長さは1~2mまでは20㎝刻み2~4.4mまでが60㎝刻みの10通りの製材品を使用しています。
また、比較検討のため一部にヒノキも使用しています。
4. ダムの強度・安定計算について
強度・安定計算については、京都府立大学農学部石川助教授をはじめとする木製治山施設検討委員会を設置して検討した。(施設として問題なしとのこと)
5. 施工業者選定について
今回の事業は、試験事業として実施したので森林整備の随意契約によって地元森林組合が工事を行った。施工に当たって当該森林組合はすでに土木工事の実績(作業道・林道など施工管理も含む)もあったので何ら問題はなかった。
6. 施工性・施工に当たっての留意事項・施工性
本体工事について、当初は組立等にとまどっていたが慣れれば速やかに施工できる。本体の施工は延べ日数で約20日間で完了した。今回は若干施工にとまどったが次回同様の工事が発注されれば施工期間の短縮が可能である。

・留意点
構造自体は比較的単純であるが、資材が木材であるために、構造物の出来高高さや幅の管理に注意しなければならない。特に放水路天端の高さには注意が必要である。
7. 工事検査について
木製ダムについては現在はっきりした検査基準が示されていない。京都府では、コンクリート工事について高さの誤差を±3cmとしているが木製ダムについては高さ±(段数×3㎜)幅±5㎝としている。
8. ダムの維持・管理方法について
木製ダムは実績がないため、防災面での安全を配慮して上、下流に既設コンクリート谷止工にはさまれた場所に設置している。
現在木製土木構造物の耐久性を裏付ける資料が不足しているので、京都府立大学の石川助教授指導のもと、耐久性・安全性など調査を行っている。この調査は継続的に行われるので、調査の結果今後何らかの保守等の管理が必要であれば行うように考えている。
9. コンクリート構造物との経済比較
単純に同等の性能を持った施設を設計すれば木製ダムはコンクリート製ダムの約1.08倍かかる。(ダム本体の体積をコンクリートに置き替えると1.7倍)これは、構造物の安定計算から、コンクリートの使用料が少なくてすむためである。

資材に関すること

1. 資材供給地
京都府内の森林において森林組合が間伐及び主伐(二番木以降)した木材。
生産地については木材取扱証明書にて京都府森林組合連合会が証明している。
2. 資材供給団体
資材の取りまとめは京都府森林組合連合会が行うとともに製材・発送(製材は地元森林組合に依託)も行っている。
3. 主伐材か間伐材か?
京都府における人工林の大半が40年生以上のスギであるため必ずしも間伐材であるわけではない、主伐時の二番木なども使用している。
4. 資材の発注から納入までの期間
丹後町の施設では121m3の材に対して約5ヶ月間かかった。
5. 製品歩留まり
原木は末口直径18~22㎝であり太鼓挽き可能な材とししため約80%であった。
6. 単価について
部材単価は本/円として各長さごとに単価を設定した。
    参考価格
    L=2m 3,300円
    L=4.4m8,800円
    いずれも工事現場到着価格である。
単価については森林組合連合会の見積もり単価を採用しているので森林所有者にもいくらかの収入が有ったはずである。
7. 森林における間伐効果
間伐効果面積については、原木の使用本数から割り出したものである。

条件
Ⅶ・Ⅷ齢級、成立本数1000本の林分で本数間伐率30%木材使用料121m3
使用本数1,422本
立木換算本数1,244本
間伐実施面積5ha

木製治山ダムの施工について

■設計・監督者の話し

この事業取組にあたり京都府立大学の石川助教授の指導により、技術検討がスムーズに行うことができた。部材供給と施工については森林組合連合会と地元森林組合の協力があり速やかに実施する事ができた。

施工に対しても、間伐材生産に携わる人が間伐材利用の現場に直接関わることによって、間伐材利用の意識が以前より高まったと思う。

設計面では、もともと実施事例の少ない木製ダム工のため、専用の施工歩掛かりがないものがあった。現地では実際作業に掛かるデータを集めたり、他の工種から同様の作業内容を流用したり積算にかなり苦労した。また、丹後町の現場で使用した4.4m材については、当初伐採現地において住宅用材の木取りで採材していた6mの材を切断して使用した。通常6m物は、住宅用材としても比較的高価で取り引きされているので、かなり贅沢な使用方法となってしまった。今後は、異なる長さの物との組み合わせなどで考えてゆきたい。

最後に、この施設は間伐材の有効利用という目的で造ったものではあるが、間伐材でも収入が得られるという事が森林所有者にも証明できたのではないかと思っている。今後もいろいろな利用法を考え、伐ったら売れるという状況をつくりたいと考える。


林産だより 第61号 (平成12年11月) から転載