メイン林産指導課の紹介情報誌 「林産だより」 平成21年度木材・木造住宅の基礎知識 >第111号(P2) 低炭素社会を創る森林 ~平成21年度 森林・林業白書から~

第111号(P2) 低炭素社会を創る森林 ~平成21年度 森林・林業白書から~

平成21年度 森林・林業白書から
低炭素社会を創る森林

【低炭素社会づくり行動計画】

平成20年7月に閣議決定された「低炭素社会づくり行動計画」では、農山漁村地域が①バイオマス資源の供給源や②森林等による炭素吸収源として重要な機能を担っていると位置付け、間伐等による森林整備、地域材の住宅等への利用拡大、未利用木質バイオマス資源の利用拡大の取組等を行うこととされた。

【森林の二酸化炭素の吸収量を確保する取組】

我が国は、植栽して新たな森林にできる土地はわずかしか存在しないため、森林吸収量のほとんどを「森林経営」が行われている森林で確保する必要がある。
京都議定書目標達成計画に基づく森林吸収量1300万炭素トンを確保するためには、20~24年度までの期間、毎年20万haの追加的な間伐等の森林整備、木材供給、木材の有効利用等を官民一体となって着実かつ総合的に推進する。

【炭素の貯蔵を増やし、化石燃料の使用を減らす取組】

木材は炭素の貯蔵等低炭素社会の実現に貢献する資源であるので、その利用拡大は重要である。
その際、国産材の利用が促進されれば、収益の山元への還元により林業生産活動の活性化と森林の適正な整備の促進という好循環につながることとなる。
木材利用は、固定された炭素が長期間にわたって貯蔵されるよう建築物等に利用した後、ボードや紙等の利用を経て、最後に燃料とする多段階での利用が理想である。

●住宅等の建築物等への木材の利用拡大

耐震性・耐久性の高い木造住宅が求められ、品質・性能が確かな木材製品を求めるニーズが高まっている。
そこで、原木の安定供給や、連携・協業による工場等の大規模化を進めている。また、川上から川下の関係者が連携した「顔の見える木材での家づくり」グループに対する支援や、地域材を活かした地域型住宅づくりへの支援、長期優良住宅等に対応した新たな地域材製品の開発・普及を実施する。

●木材の長期的な利用

二酸化炭素を長期間にわたって貯蔵する観点から、長期にわたって住宅が利用されることが望ましいので、長期優良住宅等のニーズに対応した耐久性・耐震性の高い大断面無垢材等の新たな製品等の開発及び普及促進を進めていく。

●木質バイオマスの利用拡大

製材工場等での利用は進んでいるが、約2000万立方メートルの林地残材はほとんどが未利用となっているため、低コストな収集・運搬システムや機械の開発を進めている。 また、林野庁では先進的な技術を活用して、エタノールやナノカーボン等を製造するシステムの構築に取り組んでおり、山村地域での環境ビジネスの創造が期待される。

【新たな仕組みづくり】

排出量取引の2つの制度

●国内クレジット制度

国内統合市場の試行的実施が進む中、木質バイオマスボイラーの導入による国内クレジットが発行される見込みである。

●オフセット・クレジット(J―VER)制度

森林吸収量もクレジットの発行対象としているのが特徴で、平成20年11月発足した。森林分野では現在、「化石燃料から未利用林地残材へのボイラー燃料代替」、「森林経営活動によるによるCO2吸収量の増大」、「植林活動によるCO2吸収量の増大」というポジティブ・リストが作成されている。

【低炭素社会の実現に向けて】

排出量取引等は、単に経済的な価値を創出するだけではなく、都会の消費者と、山村とを結びつけ、理解を深めるという社会的な意義も有している。
林業・山村の活性化を図り、森林を林業が守り育て、木材を無駄なく使っていくことが、低炭素社会の実現の鍵となろう。